欧州

2025.04.08 19:30

発明家ニコラ・テスラの「未来兵器」、ウクライナが黒海に解き放つ

ウクライナの新型無人艇「カトラン」のコンピューターモデル(Military Armored Company HUBのウェブサイト掲載の動画より)

ウクライナの新型無人艇「カトラン」のコンピューターモデル(Military Armored Company HUBのウェブサイト掲載の動画より)

1898年、米国の著名な発明家であるニコラ・テスラは新たな発明品を発表する。それは、戦争のあり様を一変させるはずだとテスラが確信していたものだった。小国が大国を寄せ付けないようにできる「無線操縦式ボート」である。

「世界の最も弱小な国であっても、自国の沿岸を安全にできる、あるいは自国の港を世界の連合艦隊による攻撃から守り抜くことができる、そんな兵器を早急に配備することが可能なのだと世界中の国々が将来知ることになれば、戦争はもはやできなくなるでしょう」とテスラは予言した。「戦艦は製造されなくなり、どんなに強力な装甲艦も、どんなに巨大な艦載砲も鉄くず同然のものと化すのです」

言うまでもなく、この技術が成熟するにはテスラの見込みよりも長い時間がかかった。だが、ウクライナはこのほど、魚雷を搭載するドローンボート(無人艇)を発表した。この新兵器はテスラの予言を成就することになるかもしれない。

黒海のロボット群

ウクライナはすでに黒海で、小型のロボット高速艇をロシア軍の軍艦に差し向けて非常に大きな成功を収めている。これらの無人水上艇(USV)による攻撃のほとんどは、爆発物を積んだUSVが敵艦に体当たりして爆発する自爆攻撃だった。

アナリストのH・I・サットンが詳細に記録しているように、ウクライナはUSVやドローン(無人機)、長射程の対艦ミサイルなどによる攻撃で、ロシア海軍の黒海艦隊を押し下げることに成功した。その結果、ウクライナは黒海経由でも穀物輸送を継続できるようになった。

ウクライナはこれまでにUSVを少なくとも15種類投入している。これには単純なジェットスキータイプから、市販のボートを転用したもの、あるいは特製の「シーベビー」などがある。シーベビーはロシア占領下クリミアのケルチ橋への攻撃にも使われた。

ウクライナの無人艇は進化し続けており、地上の目標を攻撃するための無誘導ロケット弾や、空中の敵機を迎撃するための地対空ミサイルで武装するタイプもある。地対空ミサイル搭載型の1隻は昨年12月、ロシア軍のヘリコプターを撃墜し、無人艇による空中目標の撃破という史上初の戦果をあげた。

もっと最近では、ウクライナのUSVは小型のFPV(一人称視点)攻撃ドローンも積載するようになっている。母船から発進したドローンは、レーダーや地対空ミサイルシステムといった沿岸目標を攻撃している。

次ページ > ウクライナの最新無人艇「カトラン」とは

翻訳・編集=江戸伸禎

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