新型無人艇「カトラン」
ウクライナ政府でドローン部門を統括するミハイロ・フェドロウ副首相は3月25日、自身の公式テレグラム・チャンネルで、新型USV「カトラン」(サメの一種を指すウクライナ語)を公表した。攻撃任務と偵察任務に対応したマルチパーパス艇とされる。
カトラン(「カトラン・ベノム」とも呼ばれている)は1000km以上航続可能で、陸海空の目標を撃破できると宣伝されている。ウォータージェット2基で推進し、最高で130km/hの速度が出るとされる。安全な衛星通信を使用するほか、かなりの自律性を備えている可能性もあり、電波がない状態でも行動できるかもしれない。
カトランは電子戦システムも装備する。ロシア側は過去にFPVドローンで無人艇を攻撃したこともあり、おそらくその対策だろう。敵の攻撃をかわすためのフレアや煙を発する装置も備える。
武器としては、ミニガン、機関銃、地対空ミサイルに加え、魚雷を搭載できる。この最後の武装により、カトランはテスラの夢を実現するものになる。
搭載される魚雷の種類はわかっていない。ただ、ウクライナには以前、スウェーデンが「水中兵器」を供与しており、具体的な兵器名は公表されていないがサーブ製のSLWT(Torped 47)魚雷の可能性がある。最新の誘導魚雷であるSLWTは水上の艦艇だけでなく、水中の艦艇も攻撃できる。重量は約340kg(うち弾頭が50kg)、射程は20km超となっている。
SLWTのような兵器は高価で供給量も少ない。それでもUSVは初めて、ロシア軍艦に対して非常に高い成功率が見込まれる遠距離攻撃を実行可能になった。
ウクライナの軍事メディア、ディフェンス・エクスプレスは、カトランは「文字どおり何もかも驚異的だ」と評している。
ロシアの複数の軍事ブロガーは3月これより前、ウクライナの魚雷搭載USVが目撃されたと報告していたが、これまで確認されていなかった。カトランは、ウクライナ政府が設立した技術アクセラレーター「Brave1(ブレイブ・ワン)」のプロジェクトのひとつとして、地元企業のミリタリー・アーマード・カンパニーHUBによって開発された。Brave1は防衛システム開発を支援しており、とりわけドローンのイノベーションの大きな原動力になってきた。