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2025.04.12 12:00

テスラ・サイバートラックの不振鮮明、290億円相当が売れ残り

Shutterstock.com

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米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株価は今年の年初からほぼ一貫して下落しているが、同社の鋭角的なデザインの「サイバートラック」もまた、販売不振が続いており、第1四半期の販売台数が大幅に落ち込んだことが確認された。

調査会社コックス・オートモーティブの4月10日のレポートによると、テスラのサイバートラックの3月までの四半期の納車台数は、6406台にとどまった。この台数は、2024年第3四半期の約1万4400台や、第4四半期の約1万3000台の半分以下となっている。

テスラの共同創業者でCEOのイーロン・マスクはかつて、この電動ピックアップの年間販売台数が25万台に達する可能性があると予測していたが、昨年の納車台数は約3万9000台にとどまった。1台の価格が約10万ドル(約1440万円)になるサイバートラックの販売は、複数のリコールに加えて、トランプ政権による関税の影響で今後も困難が予想されている。自動車ニュースサイトのJalopnikは7日の記事で、合計2億ドル(約287億円)相当の約2400台のサイバートラックが売れ残りになっていると報じていた。

テスラの電動ピックアップトラックは、自動車業界史上最大級の失敗作の1つになる可能性があるが、調査会社ストラテジック・ビジョンのアレクサンダー・エドワーズは、この販売不振は簡単には覆せないと述べている。

「サイバートラックは、実用性よりもイノベーションを優先する人々の心をつかむクルマだった。これらの人々の多くは、自らを民主党の支持者やリベラル派として位置づけているが、彼らはもはやマスクに共感を抱かなくなっている」と、エドワーズはフォーブスに語った。

米国全体のEVの販売台数は2025年第1四半期に、前年同期比で11%増加したが、同期間のテスラの米国での販売台数は、コックスによれば8.6%減少している。

そんな中、トランプ政権の関税政策とそれによって引き起こされるインフレにより、新車の価格は数千ドル上昇すると見込まれており、自動車市場全体の見通しも悪化している。ゴールドマン・サックスは、10日に今年の米国の自動車販売見通しを従来の1625万台から1540万台へと、約100万台引き下げた。

サイバートラックの販売台数は昨年、フォードのF-150ライトニングを上回り、米国で最も売れた電動ピックアップとしての地位を誇っていたが、今年の第1四半期には7187台以上を販売したフォードのバッテリー式モデルに逆転されたとコックスはレポートしている。

「マスクは、自身のトランプ政権への関与や政府効率化省(DOGE)での役割によって、これまでのテスラの支持層を遠ざけてしまった。そのため、テスラがフォードよりも多くの電動トラックを販売するのは困難な道のりとなるだろう」とエドワーズは語った。

テスラの株価は、10日の市場で約7%下落して252ドルに沈んだ。同社の株価は年初来で約33%下落している。

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forbes.com 原文

編集=上田裕資

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