マリオットグループの高級ホテルブランドが連携した「ラグジュアリーコレクション」の調査では、富裕層の約9割がレストランを予約してから航空券を予約するなど、美食を旅の主目的としており、経済を回す一つのキーとなっていることが明らかになっている。
そんな潮流に早くから注目してきた国連世界観光機関(UNWTO)は、2015年から、スペインの食の大学「バスクカリナリーセンター」とともに、UN Tourismガストロノミーツーリズム世界フォーラムを開催。2022年の第7回フォーラムは、奈良県で開催された。
さらにミクロな視点から、より地域に密着した形で具体的な事例などを共有しようと、2024年6月にはフィリピン・セブ島を舞台に、アジア・太平洋版が開催。筆者はこのアジア・太平洋版にモデレーターとして参加した。
7000以上もある島で成り立つフィリピンの多様性を表現し、過疎化が進む農村などの食文化の魅力を再発見し、観光客の誘致に繋げようという取り組みについてのディスカッション。クリスティーナ・フラスコ観光大臣を筆頭に、観光の現場で、多くの女性リーダーが指揮をとっているのが印象的だった。
中東バーレーンで初開催
2年に一度はスペイン・サンセバスチャンでの開催となるため、第8回はサンセバスチャン。2024年、第9回開催地となったのは、ペルシア湾に浮かぶ島国のバーレーン。中東での初めてのUN Tourismガストロノミーツーリズム世界フォーラム開催となった。
中東では、2022年にアラブ首長国連邦のアブダビで世界のベストレストランの地方版、中東・北アフリカベストレストラン50が発表されるなど、この地域の美食シーンにも注目が集まり始めているが、一般的に中東の食、そしてその多様性はあまり知られていない。