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食&酒

2025.01.20 14:15

国連が「美食観光」を後押し バーレーンで第9回フォーラム

バーレーンで開催されたUN Tourismガストロノミーツーリズム世界フォーラムでスピーチを行うUNWTOズラブ・ポロリカシュヴィリ事務局長

バーレーンのファーティマ・ビント・ジャアファル・アル・サイラフィー観光大臣は筆者の取材に対し、「豊かな歴史・文化背景をもつにもかかわらず、バーレーンの美食はまだ過小評価されていると感じたことが、主催国となった理由」だとし、こう続けた。

「世界から専門家が集まるフォーラムの開催で、バーレーン、ひいては中東の美食についてもっと語られるようになるはず。美食は国の重要なブランディングの一つで、その素晴らしさはクリエイティブであること。真珠貿易を通じて文化が混ざり合ってきたバーレーンは、日本、中国、イタリア、ペルー料理など、インターナショナルな食も豊富。そういった文化も取り入れてアレンジしたコンテンポラリーなバーレーン料理を世界に発信していきたい」

この後行われたトークセッションでは、フィリピンのフラスコ観光大臣が登壇。6月のアジア・太平洋版フォーラムを振り返り「フィリピンの国策」とするガストロノミーツーリズムの価値を力強く語った。

「それは一国だけのものではなく、地域のつながりをもち、官民が協調して行うバリューチェーンである。ツーリズムという急成長中のセクターが地元の経済を持ち上げ、中小の事業者を活性化していく。フィリピン中部の都市、イロイロがユネスコの創造都市ネットワークの食文化部門に選ばれたのは成功例の一つです」

地元の味を取り入れた料理の数々

地元の味を取り入れた料理の数々

フォーラムでは、地元のシェフたちの手による、地元の味をインターナショナルなスタイルにアレンジしたスイーツや軽食、昼食が提供された。アル・サイラフィー観光大臣によると「バーレーンは、現在国際会議や展示会といったMICEのハブとして、10年以内に現在のドバイのようになることを目指している」という。そのプロモーションの役目も果たしているようだった。

シェフの力と行動力で

毎回、本フォーラムでは、「美食のアンバサダー」が選ばれるが、今回は地元のタラ・バシュミシェフ、スペインのディエゴ・ゲレロシェフ、クロアチアのステファン・ルドルフシェフと3人のシェフが選ばれた。
バシュミ氏の実家でのディナーで談笑するアンバサダー、右からバシュミシェフ、ルドルフシェフ、ゲレロシェフ。

バシュミシェフの実家でのディナーで談笑するアンバサダー、右からバシュミシェフ、ルドルフシェフ、ゲレロシェフ。

「料理はバーレーンや中東の歴史や文化の豊かさを表現する素晴らしい方法」と語るバシュミシェフ。アンバサダーに選ばれたことで、地元の生産者やシェフを支援するために、国を代表する料理や隠れた名店を紹介する「フレーバー・マップ」を作り、9万人以上のフォロワーを持つインスタグラムなどのSNSで発信してゆくことから始めたい、と考えている。

美食のアンバサダーに期待されるのは、アクティブな行動力。それを裏付けるように、会議の終了後、「バーレーン料理を知ってもらいたい」とバシュミシェフは今回同じくアンバサダーになったゲレロシェフやルドルフシェフをはじめとする料理関係者15人を実家に招いて、伝統料理を振る舞った。
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文・写真=仲山今日子

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