ここまでこぎつけたのは、多くの公衆衛生擁護団体やロビー活動家のおかげと言える。赤色3号(エリスロシン)は、キャンディからスナック菓子、炭酸飲料まで、実にさまざまな製品に含まれている石油由来のタール色素で、実験用マウスの甲状腺がん発症や、子どもの問題行動との関連が指摘されてきた。
FDAは、2022年から赤色3号の使用禁止を検討してきた。赤色3号を巡る懸念増大を受け、カリフォルニア州では禁止法がすでに成立し、2027年から提供が禁止される。欧州連合(EU)や中国など、赤色3号の使用を禁止するか、厳しく制限している国もある(訳注:日本では、食品、医薬品、化粧品への利用が認められている)。
FDAが赤色3号の食品への使用を承認したのは1969年のことだが、使用の可否について何度か見直しを行ない、安全要件を満たしているかどうかを確認してきた。その後、1990年には化粧品と医療用軟膏への使用を禁止したが、食品への使用量であれば安全だと結論していた。
こうした決定に、一部の科学者は異議を唱えてきた。親からの報告をもとにした研究では、食用着色料が使用されたジュースを飲んだ子どものあいだで多動が増加したという結果が出ている。また、10年に及ぶ研究では、赤色3号が実験用マウスで甲状腺がんを引き起こした可能性が示された。
赤色3号の使用が禁止されることで、公衆衛生の面で大きなプラス効果が望めるだろう。まずは、食品に使われる合成着色料にまつわる健康リスク問題に取り組み、リスクを低減できる可能性がある。食品に合成着色料が使われないようにすることで、発がん性や、子どもの行動に悪影響を及ぼす恐れのある物質に暴露されずに済む。子どもたちは、鮮やかな色のスナック菓子やキャンディを口にして、過度に赤色3号にさらされている。
赤色3号には、健康上のメリットが一切ない。食品に加えられているのは主に、マーケティングのため、そして子どもの目を引くためだ。子どもが食べたいとねだれば、親は購入する。天然着色料のような安全だとされる代替品があるにもかかわらず、FDAや一般市民はなぜ、合成着色料というリスクを冒さねばならないのだろうか。