米国人は1日500kcal間食 国民的「スナック依存」 新研究で浮き彫りに

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昼食前にポテトチップスに手を伸ばしたり、おやつにチョコレートバーをつまんだりと、四六時中つい間食してしまうという米国人は非常に多い。国民の実に90%以上が毎日1~3回間食をしているとの推計もある。このたび新たな研究で、米国人が間食を通じて毎日大量のカロリーを摂取していることが明らかになり、糖分・塩分・脂肪分を多く含む「超加工食品」への国民的依存度の高さが改めて浮き彫りになった。

オンライン科学誌「PLOS Global Public Health」に発表された論文は、糖尿病患者の間食習慣と血糖管理についての研究で、米国成人2万3708人の間食データを解析し、糖尿病の状態別に間食摂取量を評価している。この過程で、糖尿病を患っていない平均的な米国人が、間食を通じて1日に498kcalを摂取していることが判明した。

研究によれば、間食が1日のエネルギー摂取量に占める割合は19.5~22.4%だった。平均的な米成人の1日のカロリー摂取量を2000~2500kcalとすると、毎日約500kcal、ほぼ1食分のカロリーに相当する間食を食べていることになる。

後悔の味―不健康な間食習慣

間食の種類を調べたところ、糖類、脂肪、精製炭水化物が上位を占めており、スナック菓子や甘い菓子、アルコールおよびノンアルコール飲料が好まれていることがわかった。

この研究結果は、驚くには値しない。ミシガン大学による健康的な老いに関する全国調査でも、全米で超加工食品への依存がまん延していることが明らかになっている。この調査では、加工食品を食べるのをやめると、強烈な欲求や禁断症状の兆候など、依存症の症状が現れる人がいることが確認された。50~80歳の成人の44%が超加工食品への依存症状を少なくとも1つは有していた。

食物依存症には、脳内のドーパミン放出が関連していると考えられている。ドーパミンは脳の快楽中枢で作られる化学物質で、食べるという行為で放出が誘発される。ドーナツやクッキーを食べると、脳はタバコを吸ったときと同じ水準のドーパミンを放出する。つまり、超加工食品には一部の薬物に匹敵する中毒性があるかもしれないのだ。

マインドフルに菓子をつまむ―健康を意識した間食

超加工食品に中毒性があったとしても、間食をやめる必要はない。これまでの研究で、間食は特定の状況下では有益に作用し、野菜や果物、乳製品の1日の推奨摂取量を達成するのに役立つことがわかっている。また、少量の健康的な間食には、一度の食事でたくさん食べることによって生じる消化不良を和らげる効果もある。

どのような間食を食べるかが、心身の健康と幸福を大きく左右する。幸い、間食市場は消費者の需要の変化に伴って、より体に良いスナック食品を提供するようになってきた。ヘルシースナック市場は2022年には906億2000万ドル(約13兆円)に達し、年々着実に成長している。低脂肪や無脂肪、低糖質や無糖、グルテンフリー、ビーガンなど、選択肢の幅も広がっている。

計画性と利便性こそ、マインドフルな間食のカギとなる。前もって間食の計画を立て、便利で手頃な価格のスナックを探すことができれば、超加工食品を避けて、より健康的な選択をしやすくなる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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