欧州

2024.08.22 09:30

ドローンで投降の勧告と誘導 ウクライナの新たな試みは戦争をより人道的にするか

ドローンで投稿が安全になる

ちょうど今、この戦争では投降が増える見通しになっている。ウクライナ軍によるロシア西部クルスク州への越境攻撃作戦では、かなりの数のロシア人が捕虜になっており、合計で2000人以上にのぼるとの報告もあるほか、大人数の集団投降も起こっている。多くは国境警備兵など、実戦に備えていなかった第二線の人員となっている。投降の勧告があればさらに多くのロシア軍人が応じる姿勢を示す可能性もあり、ここでもドローンが投降プロセスを促進するよい方法になるかもしれない。

最近、国際法学誌のシカゴ・ジャーナル・オブ・インターナショナル・ローに発表された「武力紛争法の下での技術によって支援される投降」という論文は、興味深い指摘をしている。著者らは、武力紛争法は人道的な目的と明白な軍事的必要性のバランスをとることを目指すものだと説明する。そのうえで、投降の3要件である1. 真正であること 2. 明確で無条件であること 3. 受け入れ可能であること──はいずれも、ドローン技術が利用できる場合はより判断しやすくなると論じている。

「技術によって支援される投降は、すべての当事者にとってより安全で、より効率的なものになる可能性が高いように思われる」と論文は結論づけている。

次のステップは、捕虜が武器を隠し持っていないかを金属探知機などで細かく検査できるドローンや地上ロボットの登場になるだろう。さらに、結束バンドなどで捕虜を拘束する装置も出現するかもしれない。

未来の戦争は、兵士らが焼け焦げた車両の残骸の下に隠れ、頭上をドローンが飛び交うなかで死を待つといった、終末もの映画のような光景で覆い尽くされるだろうか。ドローンを通じて操縦士が敵兵らに「逃げ場はない、今すぐ投降せよ」と伝えることができれば、21世紀の戦争ははるかに文明化し、流血も減るかもしれない。

(追記)クルスク州では最近、この戦争で最大規模の集団投降があり、掩蔽壕にいたロシア軍部隊全体が投降した。その際も「ドローンが重要な役割を果たした」と指摘されており、これもドローンを介した投降だった可能性がある。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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