欧州

2025.05.17 11:00

対戦車壕をバイクでジャンプ、戦場スタント試みたロシア兵が悲惨な結果に

ロシア兵がオートバイで飛び越えようとした壕(Xで共有された動画より)

ロシア兵がオートバイで飛び越えようとした壕(Xで共有された動画より)

ロシア軍はウクライナで装甲車両をすぐに補充できる以上のペースで失い、兵士をオートバイで戦闘に送り込むことがますます多くなっている。そして、彼らバイク兵たちには悲劇的な結末が待っている。

バイク兵はウクライナ軍のドローン(無人機)や火砲、地雷にまったく無防備なうえに、ただでさえ難しく、まして戦場では不可能に近いスタントを試したくなる誘惑にも駆られるのかもしれない。

15日かその少し前、ロシア軍のバイク兵のひとりが、3年3カ月近くにおよぶロシアの対ウクライナ全面戦争のおよそ1100kmにわたる前線のどこかの中間地帯を、白昼堂々と疾走してきた。その様子はウクライナのドローンが捉えていた。兵士は当初、運に恵まれていたらしく、地雷も砲弾も炸裂しなければ、FPV(一人称視点)自爆ドローンも襲いかかってこなかった。

そうしてこのバイク兵は、考えうる最も単純な防御物に近づいていった。地面に掘られた溝だ。より詳しく言えば、それは幅・深さともに6mほどとみられる長い対戦車壕だった。バイクの操縦によほど自信があったのか、ライダーは加速して壕の縁の柔らかい盛り土を駆け上がっていき、ジャンプする。壕をバイクで飛び越えて突破するつもりだったのは明らかだ。

だが、あいにく飛距離が足りず、壕の中に突っ込んだ。ライダーは死んだか重傷を負った。

たしかに、米国の伝説的なバイクスタントマン、故イーブル・クニーブルのようなスタントライダーたちは、数十mから最長で100m程度の距離をオートバイで飛び越えている。しかし、それは普通、入念な準備をして行うものであり、崩れやすい土の斜面から飛び立つなどということはめったにしない。

理論上は、45度の斜面を時速30kmかそこらで駆け上がれば、オートバイが6m程度の間隔を飛び越えるのはそれほど難しくないはずだ。だが今回の斜面は、装甲車両を妨害するために無造作に盛られた土であり、猛スピードで走ってくるオートバイを跳躍させるためのジャンプ台ではなかった。

砂地や柔らかい土からジャンプする際には慎重なバイク操作が求められる。こうした地面では、前輪が浮かび上がりやすくなるからだ。あるライダーは人気オンラインフォーラムに、こうした操作を「身につけるには何年ものライディング経験が必要だ」と書いている

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翻訳・編集=江戸伸禎

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