欧州

2024.08.21 17:30

クルスク州でロシア軍部隊を包囲か ウクライナ軍の空中強襲旅団

Karolis Kavolelis / Shutterstock.com

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ウクライナが侵攻して2週間たつロシア西部クルスク州で、ウクライナ軍の空中強襲旅団が最前線のロシア側陣地の間を進撃し、ロシア軍部隊を孤立させて包囲したと報告されている。ソーシャルメディアは色めき立っている。

主な情報源はロシアの著名なプロパガンディストであるユーリー・ポドリャカだ。通常、プロパガンディストたちが主張することを額面どおりに受け取るわけにはいかないが、彼らがクライアントに関する悪いニュースを伝えるときは注意を払うのに値する。

ポドリャカは20日、クルスク州の前線で最近あった変化は「わが方にとって有利なものではない」と書き、侵攻の中心地となっている町スジャから北へ13kmほどの村マラヤロクニャを、ウクライナ軍の第95独立空中強襲旅団の部隊が「制圧しようとしている」と報告した。

そのうえでポドリャカは、第95空中強襲旅団はマラヤロクニャを強襲した際、「この村と(その東に位置する村)ルスコエポレーチノエの間にあるわが方の陣地を迂回し、両村の間を走る道路を遮断した。その結果、第18親衛自動車化狙撃師団の部隊が作戦水準で全周包囲されることになった」と伝えている。

第95空中強襲旅団がマラヤロクニャに入っている証拠もある。ウクライナ側のドローン(無人機)は19日、同旅団のドイツ製マルダー歩兵戦闘車がマラヤロクニャのロシア側陣地に向けて射撃を行う様子を撮影している。第95空中強襲旅団は「敵は人的戦力、装備、その他の物資に大きな損害を被った」としている

もっとも、こうした情報だけでは第18自動車化狙撃師団の部隊がマラヤロクニャで包囲されたとは言い切れない。戦場での包囲は、包囲された部隊にとって大惨事になり得る半面、攻撃側にとっても遂行するのが難しい。そのためには、まず敵陣を突破し、続いて輪を閉じる必要があるからだ。

ロシアがウクライナで拡大して約2年半たつ戦争において、双方で「大釜」と呼ばれる真の包囲が形成されるのがかなりまれだったのは理由のないことではない。包囲された部隊が敵に撃滅される前に大釜から抜け出した事例は多くある。

7月、ウクライナ軍の第31独立機械化旅団の2個大隊が、東部のドネツク州の村プロフレス付近で一時包囲されたときもそうだった。

総勢数百人だった可能性もある両大隊は友軍の救援を待つのでなく、みずから戦って脱出する決断をした。ウクライナの調査分析グループ、ディープステート(DeepState)は「砲兵部隊、航空偵察部隊など関連部隊の連携した支援と現場将校らの指揮によって、第1大隊と第3大隊の隊員たちは総勢で包囲を突破できた」とのちに報告している。

ポドリャカはマラヤロクニャ方面の大釜の状態が明らかになるのは21日以降になるとの見通しを示している。「非常に激しい戦闘が続いている。わが軍の航空機、砲兵、ドローンが活動している。それでもまだ敵を撃退できていない」

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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