欧州

2024.08.15 12:00

ウクライナ軍、クルスク侵攻に2個空挺旅団を増派 損害被るも勢い衰えず

米国製ストライカー装甲車の3Dイラスト(Mike Mareen / Shutterstock.com)

ウクライナによるロシア西部クルスク州への侵攻が8日目を迎えるなか、ウクライナ軍のさらに2個旅団の部隊がこの越境攻撃に参加した。空中強襲軍(空挺軍)の第82独立空中強襲旅団と第95独立空中強襲旅団だ。

第95旅団の部隊の参加は、クルスク州の戦闘地域に向かう途中の写真で明らかになった。第82旅団の部隊の参加は、悲劇的なことだが、旅団員がロシア側の待ち伏せ攻撃で死亡したことが確認されて判明した。

空挺軍部隊の増援により、ウクライナ軍のクルスク侵攻部隊は6個旅団の一部かすべてと、2個独立大隊、支援するドローン部隊や砲兵部隊、偵察部隊、特殊部隊という構成になったようだ。総勢1万5000人近くかもしれない。

ウクライナ軍は兵力を増強したことで、ロシア側も増援部隊を送り込んでいるなかでも侵攻を長引かせていくことができるかもしれない。とはいえ留意すべきなのは、ウクライナ軍の指揮官たちがクルスク州のざっと1000平方kmの支配地域に送り込んでいる旅団や大隊の多くは、ロシアがウクライナで拡大して2年半近くたつ戦争の前線のほかの方面から移してきた兵力だということだ。それには現在、戦闘が最も激しい方面も含まれる。

ウクライナ軍の指揮官たちがポクロウシクやトレツク、チャシウヤールといった東部方面の防御を薄くしてでも、クルスク方面の攻撃を強化しているのは、彼らの優先順位とリスクをとる姿勢を物語っている。

米シンクタンク、外交政策研究所のアナリストであるロブ・リーは「ウクライナ軍がポクロウシクやトレツク、チャシウヤールといった前線の最も厳しい部分から部隊を引っ張ってきたことからすると、ウクライナがクルスク方面作戦で追求している目的が限定的なものでないのはかなり明確だ」と解説している

ウクライナ側の目的が何なのかはまだわからないところがある。だが、ウクライナ当局がすでに、クルスク州の占領地域を管轄する行政府機関の設置について話していることも踏まえると、同州で長期的にプレゼンスを保つことが目的のひとつなのは明らかだ。ただし、それはウクライナ軍が占領地域を保持できればの話だ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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