ウクライナの調査分析グループであるディープステートは、ウクライナ側で「KAB」と呼ばれているこの滑空爆弾をロシア軍の「ミラクル兵器」と評し、ウクライナ軍には「対抗手段がほとんどない」と述べている。
たしかにウクライナ側はロシア軍の滑空爆弾から防御できないかもしれない。だが、ウクライナ軍もまた、滑空爆弾でロシア側を攻撃することはできる。
ウクライナ空軍はそのために、残存する40〜50機のMiG-29戦闘機に即席のパイロン(吊り金具)を取り付け、米国製の精密誘導の滑空爆弾であるGBU-39小直径爆弾(SDB)を投下できるように改修している。数十機のSu-27戦闘機もGBU-39に対応させている可能性がある(編集注:GBU-39はSDBの空中発射型。地上発射型のGLSDBはウクライナ軍ですでに使われているが、ロシア側のジャミング(電波妨害)などの問題であまり効果を発揮していないと伝えられる。ワシントン・ポスト紙によるとウクライナ軍はGBU-39もすでに実戦で使用しており、こちらはジャミングへの耐性を示しているとされる)。
これは重要な動きだ。ロシア空軍が滑空爆弾を各機4〜6発搭載できるSu-30、Su-34、Su-35を数百機擁し、滑空爆弾攻撃を繰り返してウクライナ側に大きな損害を与えているのに対して、数個旅団、作戦機100機程度とはるかに規模の小さいウクライナ空軍はこれまで、ロシア側に匹敵するような滑空爆弾攻撃を実施できてこなかったからだ。
フィンランドの軍事アナリスト、ヨニ・アスコラも、ウクライナ空軍がGBU-39を使えるようになったのは「とてもいいニュースだ」とX(旧ツイッター)のスレッドに書いている。だが、残念なニュースもある。ウクライナはおそらく、ロシア側を頻繁に爆撃できるほどの数のGBU-39やその他の誘導滑空爆弾は確保できそうにない。