欧州

2024.06.05 10:00

ウクライナ軍戦闘機、米国製の新たな滑空爆弾を使い始める 数量はロシアにかなわず

GBU-39/B小直径爆弾(SDB)。2019年、イスラエル・ハツェリムにあるイスラエル空軍博物館(Lerner Vadim / Shutterstock.com)

GBU-39/B小直径爆弾(SDB)。2019年、イスラエル・ハツェリムにあるイスラエル空軍博物館(Lerner Vadim / Shutterstock.com)

ロシア空軍は毎月、ウクライナの軍人や民間人を狙って滑空爆弾を3000発も投下している。ソ連で設計された汎用航空爆弾であるFAB-500(500kg)やFAB-1000(1000kg)に、展開式の翼と衛星誘導装置から成るUMPK滑空誘導キットを取り付けたこの爆弾は射程が65kmほどある。そのためSu-30戦闘機、Su-34戦闘爆撃機、Su-35戦闘機といった発射母機はウクライナ軍のほとんどの防空兵器が届かない空域から発射できる。ウクライナ軍の最も優れた防空兵器なら射程に収めることができるが、その数はあまりに少ない。

ウクライナの調査分析グループであるディープステートは、ウクライナ側で「KAB」と呼ばれているこの滑空爆弾をロシア軍の「ミラクル兵器」と評し、ウクライナ軍には「対抗手段がほとんどない」と述べている

たしかにウクライナ側はロシア軍の滑空爆弾から防御できないかもしれない。だが、ウクライナ軍もまた、滑空爆弾でロシア側を攻撃することはできる。

ウクライナ空軍はそのために、残存する40〜50機のMiG-29戦闘機に即席のパイロン(吊り金具)を取り付け、米国製の精密誘導の滑空爆弾であるGBU-39小直径爆弾(SDB)を投下できるように改修している。数十機のSu-27戦闘機もGBU-39に対応させている可能性がある(編集注:GBU-39はSDBの空中発射型。地上発射型のGLSDBはウクライナ軍ですでに使われているが、ロシア側のジャミング(電波妨害)などの問題であまり効果を発揮していないと伝えられる。ワシントン・ポスト紙によるとウクライナ軍はGBU-39もすでに実戦で使用しており、こちらはジャミングへの耐性を示しているとされる)。

これは重要な動きだ。ロシア空軍が滑空爆弾を各機4〜6発搭載できるSu-30、Su-34、Su-35を数百機擁し、滑空爆弾攻撃を繰り返してウクライナ側に大きな損害を与えているのに対して、数個旅団、作戦機100機程度とはるかに規模の小さいウクライナ空軍はこれまで、ロシア側に匹敵するような滑空爆弾攻撃を実施できてこなかったからだ。

フィンランドの軍事アナリスト、ヨニ・アスコラも、ウクライナ空軍がGBU-39を使えるようになったのは「とてもいいニュースだ」とX(旧ツイッター)のスレッドに書いている。だが、残念なニュースもある。ウクライナはおそらく、ロシア側を頻繁に爆撃できるほどの数のGBU-39やその他の誘導滑空爆弾は確保できそうにない。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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