重量約270kg、射程約150kmのGLSDBは、ウクライナ軍の155mm榴弾の不足を補う一助にはなるかもしれない。ただし、文字どおりほんの少しの助けだ。長距離攻撃用のロケット弾であるGLSDBは砲弾ではない。砲弾のように使うのは本来は浪費と呼ぶべきだろう。
GLSDBがウクライナ軍による攻撃で使われたらしい最初の証拠は、14日にネット上に現れた。箱に入れられたロケット弾の残骸の動画をロシア軍側が投稿し、そこにGLSDBの特徴的な尾翼の一部とみられるものも含まれていた。
ロシア側はこの残骸について、ウクライナ東部ルハンスク州クレミンナ周辺で13日にあった攻撃で使われたものだと主張している。この攻撃の目標は、クレミンナ近郊の集落ジトリウカのすぐ東にあったロシア軍のロケット発射機2基だった可能性がある。ウクライナ軍のドローン(無人機)は、これらの発射機が爆発し、巨大な火の玉が広がる様子を上空から観察していた。
Russians showed parts of the wreckage, as it looks like, of GLSDB.
Russians claim that this wreckage was found after strike on Russian targets on February 13 near Kreminna, Luhansk region. pic.twitter.com/FQvAeJcDNs — Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) February 14, 2024
斟酌すべき事情があったのかもしれない。たとえば、ロシア側のロケット発射機群を攻撃するのに、たまたま適切なタイミングで適切な場所にGLSDBの発射機があったので、急に発射したのかもしれない。あるいは、GLSDBを不釣り合いな距離で使わざるを得ないほど、ウクライナ側の付近の野砲は砲弾が不足していたのかもしれない。
米議会共和党がウクライナへの支援を妨害しているために、ウクライナ軍の砲兵が1日に発射する砲弾数はわずか2000発程度と、おそらくロシア側の5分の1の水準に落ち込んでいる。
GLSDBに関してウクライナにとって幸運だったのは、米国のジョー・バイデン政権が1年前、つまり下院共和党がごくわずかな差で多数派を占めるのを利用して支援を妨げ始める前に、ウクライナ向けにGLSDBを開発するための資金を米ボーイングとパートナーのスウェーデンのサーブに支出していたことだ。
契約額は3300万ドル(約49億円)だった。有翼の滑空爆弾であるGBU-39小直径爆弾(SDB)と、余剰になったM26ロケットモーターを組み合わせたGLSDBは、1発4万ドル(約600万円)と安上がりだ。
3300万ドルの大半が開発費に費やされていなければ、ウクライナはGLSDBを数百発取得できるかもしれない。