ロシアがウクライナで拡大して2年3カ月近くたつ戦争で、ウクライナ軍はつい最近までの2年間、この防空ゾーンを攻撃するのに最適の兵器を持っていなかった。一方のロシア軍は持っていた。航続距離の長い自爆型ドローン「ランセット」である。
重量およそ11kg、プロペラ推進式のランセットは、前方に搭載したカメラで走査しながら狭い範囲を飛んでいく。目標の敵車両の形に一致したものを見つけると、それに向かって突っ込んでいき爆発する。
1機300万ルーブル(約500万円)とされるこの徘徊型兵器はそうやって、数十両の防空車両を含め、ウクライナ側の車両を何百両と攻撃してきた。それを通じてウクライナ側の防空部隊を前線から遠ざけ、ロシア軍の戦闘機や爆撃機、ヘリコプターが作戦行動をするのに安全なスペースをつくりだすのに役立ってきた。
今度はウクライナ側はそうする番だ。ウクライナのドローン産業界は2月、ウクライナ版ランセットである「Ram II(ラム2)」の量産を始めた。デビロ(DEVIRO)社が手がけるRam IIは、正確に言えばランセットのコピーではなく、ウクライナ国産の「Leleka-100(レレカ100)」というドローンの改良版である。
デビロによると、Ram IIは最大航続距離30km、弾頭重量3kg、命中精度1m以内で、「画期的に使いやすい」とうたわれている。
Ram IIはランセットと同様に、運用する人間側の最小限の入力で徘徊し、走査し、攻撃する。数週間前にウクライナの前線に登場してから、ロシア軍の防空兵器に大きな打撃を与え始めている。OSINT(オープンソース・インテリジェンス)アナリストのアンドルー・パーペチュアは9日、1日でロシア軍の防空車両6両の損傷を確認し、うち5両はRam IIの攻撃によるものか、その可能性があるとしている。
Here are the losses for 2024/04/09https://t.co/6ZeZYh00Ln
— Andrew Perpetua (@AndrewPerpetua) April 11, 2024
(this time with the correct date) pic.twitter.com/nttCdcxMkL