──こうした多様な視点を担保するのも「ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン(DEI; 多様性・公平性・包括性)」に期待されている役割の一つだと思います。今では多くの企業が取り入れていますが、半ば“義務的”に採用していたり、形骸化していたりする場合も少なくありません。FigmaではDEIをどのようなかたちで経営戦略や企業文化に取り入れているのでしょうか。競合他社との差別化要因になったり、プロダクトを作る際の戦略的利点はあったりするのでしょうか?
山下:FigmaでもDEIを重視していて、私をはじめ、社員全員の現在地を理解する意味でも重要です。もちろん、まだ完璧ではありません。多様性が足りていないと思う部分はあります。
おっしゃるように、私たちの仕事は「ユーザーにとって最高の製品を作る」ことだからです。もし私たちの会社がユーザーベースを反映していなければ、ユーザーが望む製品を作るのは難しくなります。こうした“違い”を経験し、探し続けないと、ちょっとしたバイアスが製品に悪影響を及ぼしかねません。文化の違いということもきっとあるでしょう。あるグループが共感できることでも、別のグループにとっては不快かもしれない。職場に十分な多様性があれば、議論することで、より良い製品を作る確率を高めることができます。
それに、Figmaはグローバル企業なので、そうすることが理にかなっているとも思います。というのも、米テクノロジー企業ならではのバイアスがあるからです。顧客の企業文化について考えるととき、アメリカの企業文化は容易に想像できますが、日本や韓国、欧州など、さまざまな国と地域に行くと異なります。そして、これは多様性の一側面に過ぎません。多彩な背景をもつ同僚がいれば、何が課題なのか、何を考えなければならないのかを理解する助けになります。
その点からも、とても重要なことです。Figmaの企業価値の一つに「コミュニティ作り」があります。これは、ユーザーが学び合い、成長し合えるよう、コミュニティを育成することです。社内でも、さまざまな種類のグループやコミュニティを作っています。「従業員リソース・グループ(ERG)」もあります。それは社内外のコミュニティを共有したりつなげたりする、“架け橋”にもなっています。
FOLLOW US
Forbes JAPANの最新のニュースをお届けします
続きを読むには、会員登録(無料)が必要です
無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!
会員の方はログイン