そう、米国からウクライナへの新たな援助が、ようやく実現する公算が大きくなった。それも大量の援助だ。
ルイジアナ州出身の宗教右派でロシアを利してきたジョンソンは、下院の歳出法案を月内にも採決にかける意向を示している。詳細はまだ明らかにしていないが、数カ月前に上院を通過した歳出法案と同様の内容になる可能性が高い。上院案ではウクライナ向けに600億ドル(約9兆1000億円)の予算が計上され、うち340億ドル(約5兆2000億円)はウクライナ向け兵器の調達に充てられる予定だ。残りはウクライナ軍の人員の訓練のほか、人道支援など軍事以外の支援に振り向けられる。
340億ドルでどれくらいの規模の兵器を購入できるだろうか。参考になりそうな数字を挙げよう。ロシアがウクライナに全面侵攻した2022年2月から今月1月までの1年11カ月の間に、米国がウクライナ向け兵器に充当した予算額はおよそ450億ドル(約6兆8000億円)だった。
このうち半分ほどは、米国防総省がウクライナのために企業側と結んだ契約の代金支払いに充てられた。残り半分は、米国が米軍の在庫から古い兵器をウクライナに無償供与したあと、米軍向けに新しい兵器を調達するために使われた。
これらを踏まえると、ジョー・バイデン米大統領と上下両院の民主党議員、無数の一般の米国人が半年間強く求め続けてきた新たな支援によって、ウクライナはさらに1年以上戦うのに十分な兵器を手にできるはずだ。
具体的には、レーダーやジャマー(電波妨害装置)、ドローン(無人機)、ボート、装甲車両、工兵装備を多数取得できるだろう。とりわけ期待されるのは、大砲とその砲弾、防空システムとそのミサイルの追加供与だ。
ウクライナは米国から以前、155mm榴弾砲をおよそ200門、高機動ロケット砲システム(HIMARS)を39基、パトリオット地対空ミサイルシステムを1基、NASAMS地対空ミサイルシステムを12基供与されていた。これらの兵器も補充できそうだ。