欧州

2024.04.01

ロシア軍、地上ロボットをウクライナで実戦投入 有効性は?

銃身下にグレネードランチャーを装着したAK-74M自動小銃(Shutterstock.com)

ドローン(無人機)が活動するのに最も向いている場所は、やはり空なのかもしれない。次がわずかな差で海だろうか。つまるところ、ある程度離れたところからドローンを操作する操縦士にとって、最も難しい課題のひとつは障害物を避けることだからだ。海上には障害物があまりなく、空中ではもっと少ない。

それに対して、地上には障害物がたくさんある。ロシアがウクライナで拡大して25カ月あまりたつ戦争で、ウクライナ軍もロシア軍も空中ドローンを大量に使用し、ウクライナ側は水上ドローン(無人艇)も多数使用している一方、双方とも地上ドローン(無人車両)はあまり用いていないのはそのためだろう。

少なくとも、実際の戦闘にはほとんど投入してこなかった。ウクライナ側もロシア側も小型の地上ロボットを配備しているものの、主な用途は補給や負傷者などの搬送、地雷の敷設となっている。

しかし最近、廃墟と化しているウクライナ東部バフムートの近辺で、ロシア側による地上ロボットの戦闘での使用が確認された。ロシア軍はウクライナ軍の第53独立機械化旅団に対する直接攻撃とみられる攻撃に、グレネードランチャー(擲弾発射機)で武装した小型で装軌式の無人地上車両を投入した。確認されているのは2両だが、実際はもっと多く使われたのかもしれない。

もっとも、これらのロボットはバッドエンドを迎えている。通信アプリ「Telegram(テレグラム)」のチャンネルで共有された、ウクライナ側のドローンから撮影された映像の静止画像では、有人車両の残骸のそばに、損傷したと見受けられる2両が放置されている。うち1両には車体の側面に「6」という数字が見える。

擲弾を発射するミニ無人戦車でロシア側が何をしようとしていたのかはよくわからない。ウクライナ側がどのようにしてこれらのロボットを阻止したのかも不明だ。はっきりしているのは、軍事アナリストが数年前、無人地上車両を機械化攻撃に組み込むのは難しいだろうと予測していたことだ。

2020年末、米シンクタンクのランド研究所は、近未来に米陸軍が武装地上ロボットを戦力に組み込んだとの想定のもと、米陸軍とロシア陸軍の機械化歩兵中隊同士が衝突する机上演習を実施した。米陸軍側ではM1エイブラムス戦車4両とM2ブラッドレー型の歩兵戦闘車11両を、装軌式と装輪式のロボット戦闘車両(RCV)計11両が補完した。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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