ウクライナ海軍が更新した情報によると、ミサイルはロシアの軍艦4隻に当たっていた。攻撃には空中から発射される英国製ストームシャドー巡航ミサイルかそのフランス版のSCALP(スカルプ)-EG、あるいは地上から発射されるウクライナ国産ネプチューン巡航ミサイル、もしくはこれら3つすべてが使われたようだ。
損傷した4隻は現役のロプーチャ級揚陸艦「ヤマル」と「アゾフ」のほか、就役していなかったロプーチャ級揚陸艦「コンスタンチン・オリシャンスキー」(ウクライナ語読みではコスチャンティン・オリシャンシキー)と偵察艦「イワン・フルス」。コンスタンチン・オリシャンスキーはもともとはウクライナ海軍の所属艦で、ロシアが2014年にクリミアに侵攻した際に奪い取った。イワン・フルスは10カ月前、ウクライナの水上ドローン(無人艇)の襲撃を受けたが生き延びていた。
衛星画像では、複数の艦艇が損傷したように見受けられるが、明らかな沈没は確認できない。ミサイルが命中したとされる4隻は、すべて修理可能かもしれない。皮肉にも、これらの艦艇は攻撃を受けた当時、セバストポリの修理廠に入っていたと報じられている。
Satellite images of all four project 775 ropucha-class landing ships in Sevastopol.
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) March 24, 2024
Near one of the ships, a trace of an impact on the pier is visible. Another ship is being towed into the dry dock. But on the satellite images provided, no significant damage to the ships is… https://t.co/wBcb5yWhJb pic.twitter.com/ThIJI1Fwvj
だが、ロシアの工兵らは最近、ロシア南部のロストフナドヌーとロシア占領下のウクライナ南部マリウポリを結ぶ新たな鉄道路線を完成させた。その結果、ロシア軍は、ウクライナ南部方面の部隊への補給を大量の海上輸送に頼る必要性が薄れた。鉄道路線は補修しやすいため、シーレーンよりも遮断するのが難しい。
つまり、いまはもう黒海艦隊の揚陸艦を攻撃しても、ロシアの戦争努力にとって以前ほど打撃にならない。それでも、ロシア軍の艦艇を撃破したり損傷させたりするか、そうしないかという二者択一であれば、ウクライナ側は間違いなく前者を選ぶだろう。
ウクライナ側はこの攻撃より前に、ミサイルや爆薬を積んだ水上ドローン群によって、黒海艦隊のロプーチャ級揚陸艦を3隻撃沈するか大破させ、タピール級揚陸艦を1隻撃沈していた。黒海艦隊には全面侵攻前に大型艦が35隻ほどあったが、ほかに巡洋艦1隻、潜水艦1隻、補給艦1隻、哨戒艇数隻、ミサイルコルベット2隻もウクライナ側の攻撃で破壊されている。ウクライナ側は最新の攻撃で、新たに現役の艦艇3隻に損害を与えた。
このペースで損失が続けば、黒海艦隊は1年半から2年後には機能しなくなるだろう。ロシア海軍が黒海艦隊の着実な衰退を食い止めるためにできることは限られる。ほかの艦隊から大型艦を増援に回すことは不可能だからだ。
陸上や河川で運ぶことのできない比較的大型の軍艦は、黒海に入るためにはボスポラス海峡を通る必要がある。だが、ボスポラス海峡はトルコが管理しており、戦時中は軍艦の通過を認めない。
(forbes.com 原文)