欧州

2024.04.01 11:00

ロシア軍、地上ロボットをウクライナで実戦投入 有効性は?

銃身下にグレネードランチャーを装着したAK-74M自動小銃(Shutterstock.com)

演習では攻撃や防御のさまざまなシナリオを試したが、いずれもロボット戦闘車両はたいして役に立たなかった。それにはひとつ大きな理由があった。ロシア軍が今回、実戦で用いたものと同じように、この演習のロボット戦闘車両も遠隔から無線で操縦されていた点だ。
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そのため、これらのロボット戦闘車両は地形や敵のジャミング(電波妨害)によって操縦士から遮断されやすかった。「(評価の基準となる)ベースラインの演習では、ロボット戦闘車両との見通し線内通信が障害物や電波妨害で遮断されないようにする必要から、米軍側は大きな制約を課された。そのため前進ペースは落ち、前進の統制も複雑になった」とランド研究所のアナリストらは報告している。

「とりわけ、ロシア軍側の(戦闘に先立って用意されていた)背負い型のジャミング装置の効果的な利用によって、米軍側のロボット戦闘車両の活用は大幅に制約された」という。操縦士が制御に苦慮するなか、これらのロボット車両はたびたびアイドリング状態に陥り、不規則に戦闘に突入しては敵の火力によって撃破される結果になっていた。

ロシア軍がウクライナでの地上攻撃にロボットを投入した最初の例のひとつとみられる今回の攻撃でも、使われた無人車両がウクライナ側のジャミングに遭ったのかどうかは、繰り返しになるがよくわからない。ただ、もしそうだったのだとしても驚くには当たらない。
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ウクライナ軍はこれまで、電子戦を駆使して一部の戦域で局所的な航空優勢を確保してきた経緯があるからだ。具体的には、主要な周波数帯に大量のノイズを流すことで、それをロシア側のドローン操縦士が使えないようにしつつ、自軍のドローンは電波妨害を受けずに飛ばせるようにしてきた。

ロシア軍が今後、ウクライナで武装地上ロボットの使用を拡大すれば、ウクライナ側はジャミングの強化で対応することになるだろう。バフムート方面で今回みられたように、大破して遺棄された有人車両と並んで、破壊されたロボットが転がっている光景も珍しくなくなるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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