新たな財源が確保されれば、テキサス州のこの工場とペンシルベニア州の似たような2つの工場は、おそらく数カ月以内に、砲弾を合計で月に6万発生産できるようになる。また、9カ月以内には月間生産数を10万発まで増やせそうだ。ペンシルベニア州の2工場の砲弾生産数は、ロシアがウクライナに全面侵攻する1カ前の2022年1月時点では月に計1万5000発程度にとどまっていた。
3工場で月に計6万〜10万発生産される砲弾の主な出荷先は、もちろんウクライナになるに違いない。米国から届く大量の砲弾は、ウクライナが向こう数週間ないし数カ月後に欧州連合(EU)から受け取る数十万発の砲弾、それとは別にチェコ主導のグループから得る100万発規模の砲弾に加わることになる。
今年2月時点で、ウクライナ軍の1日の砲弾発射数はわずか2000発まで減っていた。ロシア側は5倍の1万発を発射している。ウクライナ側がこのところ後退を強いられ、ロシア側が相変わらず多大な損害を出しながらも前進しているのは、この砲兵火力の差が主な理由のひとつだ。
ウクライナ軍は今後年末にかけて米国、EU、チェコグループから少なくとも250万発届くと見込まれる弾薬を使って、ロシア側に匹敵する1日1万発の砲弾を発射できるようになるだろう。ウクライナ軍の砲兵のほうが概してロシア軍の砲兵よりも砲撃の精度が高い点も考え合わせれば、これはウクライナ側が近く、1年ぶりに砲兵火力で優位に立てることを意味する。
この火力優位がウクライナの命運をどれほど大きく好転させるかは、いくら強調してもしすぎることはないだろう。防空システムとそのミサイルの追加供与によって、ウクライナがどれほど大きな恩恵を受けるかについても同様だ。