欧州

2024.04.02

ロシア軍、大規模な突撃で戦車12両を一気に失う 過去最大級の損害

列車で輸送されるロシアのT-72B3M戦車。2022年7月、サンクトペテルブルク近郊のセルトロボで(Karasev Viktor / Shutterstock.com)

ロシア軍がウクライナ東部アウジーウカの西方で3月30日に行った突撃は、ロシアがウクライナで拡大して25カ月あまりたつ戦争で、戦車を用いた攻撃としては過去最大級だった可能性がある。

その結果、ロシア軍は自軍の戦車に過去最大級の損害を出した。煙が晴れると、ロシア軍が投入した戦車の3分の1が道路に残されていた。

ロシア側が大損害を被ったこの攻撃は、3年目に入ったこの戦争の互いにぶつかり合う2つの動向を浮き彫りにした。

2月半ばにアウジーウカを占領してから今回の攻撃までの数週間、ロシア軍の連隊や旅団は、廃墟と化している同市の西にある村々を攻撃するのに、徒歩で移動する歩兵を主に用いていた。アウジーウカの攻略に向けた数カ月にわたる攻撃で戦車や歩兵戦闘車などを何百両と失い、車両不足に陥っていたためとみられる。

それがここ数日で変わった。これがひとつ目の動向だ。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)は3月29日の戦況評価で「アウジーウカ方面では、敵(ロシア軍)は戦車を含む装甲車両を再び使用し始めた」と指摘している。その翌日、ロシア軍の1個ないし2個大隊分の装甲車両がアウジーウカ西方の村トネニケ近辺に突っ込み、多数が遺棄される結果になった。

他方、こうした大規模で重武装のロシア軍部隊をウクライナ側が撃退できたことは、もうひとつの動向を示している。ウクライナ軍の旅団は主要な弾薬の供給不足に苦しみながらも、なお苛烈な防衛ができるということだ。こうした防衛は地雷や大砲、対戦車ミサイル、そして爆薬を搭載したFPV(一人称視点)ドローン(無人機)を組み合わせて行われることが多い。

トネニケの西であった攻撃について、ウクライナ空中強襲軍(空挺軍)第25独立空挺旅団は「小さなプトラー(編集注:プーチンとヒトラーをかけ合わせた侮蔑語)の野心のために、束になって死んでいく肉どもの愚かさ、無分別さ加減は、時に驚きあきれるほどだ」とテレグラムに投稿している
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翻訳・編集=江戸伸禎

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