それから9年。メリニクは上級中尉として、新設の陸軍第47機械化旅団に加わった。同旅団は6月9日、ウクライナが時間をかけて練った反転攻勢の最初の攻撃を主導した。
メリニクの反攻従事は短時間で終わった。初日に地雷を踏んで片足を失い、かろうじて一命を取り留めた。混乱した反攻作戦の初期を振り返るとき、弁護士から兵士に転身したメリニクは言いたいことがある。
メリニクはウクライナのウェブメディア、センサーとの広範にわたるインタビューで、ウクライナ軍の指揮官らは占領した領土を保持するというロシア軍の決意を過小評価していたと批判。指揮官らは反攻直前になって部隊の編成や装備を変更し、部隊の結束を乱したと主張し、航空部隊による地上部隊の支援もなかったとも指摘した。
だが軍上層部や空軍を批判する一方で、メリニクは所属した中隊が戦闘で使った米製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車(IFV)については「ブラッドレーはあらゆることに耐えた」などと手放しで称賛した。
米国は、今年初めに約200両のM2A2 ODS-SAブラッドレーのウクライナ供与を決定。第47旅団は、これらの車両を主に運用している旅団だ。
M2A2 ODS-SAは、1991年の湾岸戦争での「砂漠の嵐作戦(ODS)」後、状況認識能力(SA)を向上させるために改良が施されたものだ。重量28トン、乗員9人で、25mm機関砲と追加反応装甲を備える。スウェーデン供与のCV90と並んで、ウクライナ軍が運用するものの中で最高のIFVかもしれない。
第47旅団はこれまでに何十両ものM2を失っている。だが、その多くは回収・修理が可能かもしれない。そしてもっと重要なことに、第47旅団はM2の乗員を何十人も失っていない。つまり、M2は乗員を守るべく設計されている。「ブラッドレーが攻撃されても、乗員は生き延びる」とメリニクは語った。