欧州

2023.11.20 10:00

ウクライナで増大する小型ドローンの脅威、双方がネットなどで防衛

遠藤宗生
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ロシアとウクライナの1年9カ月に及ぶ戦争では、擲弾(てきだん)を落としたり爆発物を巻きつけたりしている小型ドローンがあちこちで使われている。双方の軍の歩兵隊はその脅威を認識しており、機甲部隊や砲兵部隊の仲間から知恵を拝借した防衛手段を塹壕(ざんごう)に導入している。

参考になるのが、米シンクタンクの外交政策研究所のアナリスト、ロブ・リーがネットで公開した画像だ。ウクライナ軍のぬかるんだ塹壕を覆うネットや、ロシア軍の塹壕の出入り口を覆う金属製のメッシュなどが見られる。

歩兵らは小型ドローンがいかに危険なものであるかを理解している。特に、スピードがあり、遠隔から操作する一人称視点(FPV)のモデルは要注意だ。いかに危険かは、ここ数週間で繰り広げられたドローン攻撃からも明らかだ。

FPVドローンを塹壕襲撃兵器として飛ばしているロシア軍のドローン部隊は、塹壕を保持していたウクライナ軍の歩兵を数人殺害し、命拾いした歩兵らを散り散りにした。

一方のウクライナ軍は、ドローンを使って移動中のロシア軍戦車に擲弾を投下し、損傷させた。その後、動けなくなった戦車を回収しに来た戦車にも擲弾を落とした。また、バイクで疾走するロシア軍の防空兵2人をFPVドローンで追い詰めた。

別のウクライナ軍のドローンは、ロシア軍の歩兵部隊が大破した装甲車の中に隠れるところを観察。爆発物を搭載した2機目のFPVドローンが、装甲車の開いたハッチから入り込んで爆破した。

米シンクタンクの戦略国際問題研究所の非常勤上級研究員を務めるサミュエル・ベンデットは、爆発物を搭載した小型ドローンは「あらゆるところにいる」と話す。

そのため、当然のことながら、ドローン防衛も至る所で見られる。「ドローンやFPVタイプの無人航空機(UAV)に対するさまざまな防衛手段、例えばコープケージ(鳥かご装甲)やスラット装甲、丸太やそれに類するものが使われている」(ベンデット)

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翻訳=溝口慈子

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