一方、M2に対抗するロシア軍のIFVのBMP-2はそうではない。BMP-2が被弾すると「乗員全員が死ぬ」とメリニクは指摘した。
メリニクが乗り込んだM2は、6月9日に攻撃中にロシア軍の砲撃を受けた。「砲弾は右側面の下部に命中した」とメリニク。装甲は破片をしのいだものの、衝撃波で車内の配線が破損したという。操縦手は脳震とうを起こしたが、M2の600馬力のディーゼルエンジンは動いており、M2は「走り続けた」(メリニク)。
メリニクの経験では、M2は空からの攻撃に最も弱い。ブラッドレーでは、前面と側面の保護と重量を増すために車両と砲塔の上部の装甲を薄くする設計がなされたことを考えると、もっともな指摘だ。
「ブラッドレーが衝撃に耐えられなかった唯一のケースは、ヘリからの攻撃を受けたときだった」とメリニクは語った。ロシア空軍のカモフKa-52攻撃ヘリが第47旅団の突撃隊に襲われ、「ブラッドレー1両が爆発した」という。
だが、それ以外は第47旅団のM2はKa-52の攻撃をしのいだ。「M2は通常、非常に信頼できる車両だ」
M2はウクライナ軍兵士の命を救う。メリニクが地雷を踏んで片足を失った際、M2が猛スピードで救出に駆けつけた。
だが、頑丈だからといって、万能な兵器にはならない。メリニクによると、ウクライナ軍の指揮官の中には、M2あるいはレオパルト2戦車が向かってくるのを目にすればロシア軍の部隊は降参するだろうと純粋に信じていた者もいたという。
「ブラッドレーやレオパルトを見てロシア軍の兵士は逃げる、という単純な想定が、この大掛かりな反攻作戦のベースになっていた」
もちろん、そうはならなかった。第47旅団をはじめとする反攻部隊がいくつかの軸に沿って16kmほど前進するのに5カ月を要し、その間、メリニクを含む多くの死傷者を出した。
(forbes.com 原文)