宇宙

2023.06.29 18:30

目指すは宇宙市場の窓口! ElevationSpaceに聞く宇宙実験・実証ビジネス

伊東せりか宇宙飛行士と考える「地球の未来」#20

「宇宙開発」と一口に言っても、開発しているものやその目的はさまざま。

このシリーズでは、ワープスペースのChief Dream Officerに就任した伊東せりか宇宙飛行士と一緒に宇宙開発の今と未来を思索していきます。

第20弾となる今回は、宇宙空間で科学実験ができる衛星を開発するスタートアップElevationSpace(エレベーションスペース)で広報を担当している武藤槙子さんをお迎えして、事業の構想やサービスを通じて実現したいことをうかがいました。


宇宙実験用の衛星、25年に技術実証へ

(c)小山宙哉/講談社

(c)小山宙哉/講談社


せりか:武藤さん、よろしくお願いします! ElevationSpaceが開発中の宇宙環境利用・回収プラットフォーム「ELS-R」は、宇宙空間で実験ができるそうですね。詳しいお話をうかがえるのを楽しみにしていました!

武藤さん:ElevationSpaceの武藤です。こちらこそ、よろしくお願いします。

せりか:早速ですが、宇宙環境利用・回収プラットフォームとはどのようなものなのでしょうか。

武藤さん:無人の人工衛星を打ち上げて、それを使って実験や実証を行います。実験終了後は衛星を地球に帰還させ、成果物をお客様にお届けします。

技術実証機は2025年に打ち上げる予定です。この技術実証機には多くのお客様のペイロードを載せる予定はありませんでした。ところが「ぜひ使ってみたい」とおっしゃってくださる企業さんが想定以上にいらっしゃったため、搭載枠は満枠になりました。

技術実証機で技術を確立させられたら、サービス機の運用に入ります。基本的にペイロードは相乗りです。例えば、実験の期間が同じお客様を集めて打ち上げるようなイメージですね。技術実証機は200kg規模ですが、サービス機はニーズに応じて少し大型化することも考えています。

せりか:技術実証機には、IDDK(宇宙でのバイオ実験を手軽に。指先サイズの顕微観察装置が加速させる、新たな宇宙利用【伊東せりか宇宙飛行士と考える地球の未来#18】にて登場)が開発している指先サイズの顕微観察装置を用いた実験環境を構築する計画だと聞いています。そのほかに、ELS-Rを使うとどんな実験ができますか。

武藤さん:国際宇宙ステーション(ISS)で行われているような医学や生物学の実験はもちろん、宇宙事業に進出したい企業の宇宙実績を作る場としても活用いただくことができます。地上で実用化されている製品や技術を宇宙に転用するために、「宇宙でも動作しました」「宇宙環境に耐えられます」という実績は重要です。ELS-Rのなかでその実証を行うことで、民間企業の宇宙参入を促進できると考えています。
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