宇宙

2023.06.28

宇宙一速い惑星風はどこに吹く?

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ここ地球では、極端な気象現象によって風速が急上昇することがある。海水温の上昇と地上風のパターンによって発生したハリケーン「アイダ」の持続的風速は、時速約155マイル(秒速約69メートル)に達した。最大瞬間風速は時速約168マイル(秒速約75メートル)に達したが、地球ではもっと強いハリケーンや竜巻が発生している。

1999年にオクラホマ・シティを襲った竜巻は、時速約48万6000メートル(秒速135メートル)。これが地球上での史上最速記録だ。

土星では赤道の高層大気の風速、時速約177万メートル

とはいえ、地球上の風速は太陽系で最速というわけではない。

金星は大気が地球より濃く、高温だが、風速は最高で時速約40万2300メートル(秒速約112メートル)。

火星では時速約60マイル(秒速約27メートル)を超えることは滅多にない。一方、土星の第六衛星タイタンでは、大気の最上層で最高時速約43万4500メートル(秒速約121メートル)に達する。

巨大ガス惑星ではさらに高速の惑星風が吹く。木星の斑点はハリケーンに似ているが、最速の風が吹くのは極であり、その速さは時速約900マイル(秒速約402メートル)だ。

土星ではさらに速い。赤道の高層大気の風は時速約177万メートル(秒速約492メートル)に達する。

天王星、海王星だと──

天王星、海王星の超高度域における持続的な風はさらにその上を行く。

海王星は、受ける太陽エネルギーが太陽系の惑星中最少であるにもかかわらず、高層大気における風速は時速約1600マイル(秒速約715メートル)まで達する。

だが、最高速の風が吹くのは冷たい惑星ではない。

観測史上最速が記録されたのはどこか? 太陽系外惑星「ホット・ジュピター」のHD 189733bだ。

その記録は時速5000マイル(秒速2235メートル)を超える。最速の風が吹く惑星は、われわれの太陽系の外にあるのだ。



ホットジュピターに分類される惑星は、大気が超高温になるほど親星に近く、かつ、ガスエンベロープを維持しながら高速で公転できるほど巨大なガス惑星であれば、最高速の風を発生させることができる。その風速には、地球その他太陽系のどの惑星も太刀打ちできない。

ハリケーンは最大で、時速157マイル(秒速70メートル)を超えるカテゴリー5にまで発達する。この動画では、2020年のハリケーン「イオタ」の目と、東部および北東部に落雷を確認できる。カテゴリー3、4、5の発生頻度は10年単位で増加しており、地球温暖化がその原因と思われる。

2021年8月29日、ハリケーン「アイダ」がロサンゼルスに上陸した。持続的風速が時速約155マイル(秒速約69メートル)、最大瞬間風速が少なくとも168マイル(秒速約715メートル)になったこのハリケーンも、ここ数年のあいだに上陸したカテゴリー3、4、5クラスのハリケーンのひとつだ。ここ20~30年でカテゴリー3、4、5のハリケーンが増加しているのは、気候変動が原因である可能性が高い。
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翻訳・編集=寺下朋子/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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