テクノロジー

2023.01.10 10:00

自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)


現段階では、その運用方法は、レベル2での実装となる。PlusのCOOで共同創業者であるショーン・ケリガンは「このPlusDriveは、当社の自動運転ソフトウェアを使い、プロのドライバーの監督の下で動作するように制約を設けた上で作られています。安全性、燃費、ドライバーの快適性を向上させることが目標です」と述べ、PlusDriveは「ドライバーの代わりではなく、アシストになることを目指しています」と付け加えた。また、PlusDriveを搭載したトラックは走行距離が長くなるため、L4の開発・検証プロセスにも大きなメリットがある。PlusDriveの最初の顧客はアマゾンで、2021年に配送を開始し、2022年を通して継続している
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この種の運転支援システムは、最近のトラックの先進運転支援システム(ADAS、Advanced Driver Assistance Systems)をはるかに超えて、L4対応を意図したシステムのAIアルゴリズムが継続的に賢くなっていて、無線アップデートで機能が拡張されている。テスラのAutopilot(オートパイロット)がTesla Semi(テスラセミ)で実現された場合には、同様のAI式HADとなるだろう。

トラックOEMが同様のHADを投入することは間違いないと思うが、彼らはそれなりの年数をかけてステップ・バイ・ステップで進めていくだろう。しかし、PlusDriveが登場したとき、私は、高速道路に特化した他のトラックAVのスタートアップも、より迅速に市場に参入して収益を上げる方法として、また少なくともトラック運行業者の自動運転トラックの早期版を手に入れたいという欲求を満たすために、同様の道を辿るのではないかと興味を持った。

2022年11月、Embark(エンバーク)は、パートナーであり投資家でもある北米最大級のトラック運送会社Knight-Swift(KS、ナイトスイフト)に自動運転トラックを提供したことを発表した。PlusDriveと同様、トラックを操作するのは、自動運転を監督する業者が雇用したドライバーだ。Embarkのアレックス・ロドリゲスCEOは「最初は合流や割り込みに対応したインレーンでの運用、その後、規制が許す限り完全なマルチレーン機能へと、順次機能を追加していきます」と述べている。
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KSは、日常業務で車両を評価したかったため、ここで率先して導入を行った。このことは、Embarkにとっても、エンジニアを必要としない起動プロセスの実現などの、システムの強化を促すこととなった。ロドリゲスはKSについて「これは、私たちの技術を商用展開する際に、L4を実現するための最後のステップなのです」と指摘する。Plusとは異なり、EmbarkのHADシステムは製品ではないので、潜在顧客にはごく少量しか提供していないことを彼は強調した。
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翻訳=酒匂寛

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