自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)


Einride(アインライド)は、最近テネシー州で、顧客であるゼネラル・エレクトリックの工場間の物資輸送を行うことを発表した。VASのイェーガーは、このような運用戦略が、同社の戦略における第二の焦点であると指摘する。このユースケースでは、遠隔センターとの通信遅延と車速が見合うものであれば、遠隔運転の採用を検討することができる。

地方の道路で最も活発なトラック輸送のユースケースは、eコマースのブームに後押しされた物流センターと地元の店舗を結ぶ反復輸送だ。Gatik(ガティック)はこのユースケースを推進し、開発段階や試験段階を経て、収益を生み出すドライバーレス貨物輸送を完全に展開することに成功した。ウォルマートが最初の顧客で、2021年にアーカンソー州で完全なドライバーレス運転が開始された。

2022年には、Gatikはテキサス市場の新規顧客としてGeorgia-Pacific(ジョージアパシフィック)、KBX、Pitney-Bowes(ピツニーボウズ)を発表し、2020年から協業を始めていたオンタリオ州で営業しているカナダ最大の小売業者Loblaw(ロブロー)と完全ドライバーレス配送を開始した。いすゞはGatikにL4対応中型トラックを供給している。Gatikは、今回の資金調達によって「3年から4年分」の資金を確保し、その間に顧客事業の「積極的な成長」を見込んでいるとしている。Gatikの共同創業者兼CEOであるゴータム・ナランに、その「積極的な成長」の本当の意味を尋ねてみた。ナランは「2023年末には数百台のトラックが商用運転に投入される見込みです」と答えた。

Udelv(ユーデルブ)も公道走行型自動運転プレイヤーで「多店舗、ラストマイル、ミドルマイルの配送ルート対応の運転席のない自動配送EV(電気自動車)」を開発している。2022年初頭には、ベルギーの物流サービス会社Ziegler Group(ジーグラーグループ)が、10台のUdelv Transporters(ユーデルブ・トランスポーター)を発注した。

高速道路の走行:高度に自動化された運転


長距離トラック輸送の場合、自動運転にはいくつかの形態が存在する。運転手のサポートレベル、運用デザインの領域、複数トラックの運用など、追求されるユースケースはさまざまだ。

高速道路での自動運転採用に向けた興味深い中間段階として、高度自動運転(HAD、Highly Automated Driving)と呼ばれるものがある。2021年初頭、自動運転開発企業であるPlus(プラス)は、L4対応を意識したハードウェアとソフトウェアを採用し、顧客が雇用するドライバーによってシステムが監督を受けながら、基本的に高速道路走行中のすべての運転タスク(車線内走行、車線変更、合流への対応など)を行うPlusDrive(プラスドライブ)という製品を発表している。
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翻訳=酒匂寛

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