ビジネス

2023.01.03

自動運転車の現在(2)「人を移動させるロボット」

ロボタクシー車内(Getty Images)

このシリーズのパート2では、人を移動させるための自動運転と、そのために現在の経済状況の中で必要なことを深く掘り下げて行く。

本シリーズのパート1で述べたように、自動運転車(AV)否定論者サイドからは、自動運転車に関して「今は終わりの始まりだ」「いつまでたってもそこに到達はできない」「すべてが無駄だ」、さらには「詐欺だ」という話が伝わって来ている。

最近の自動運転車に関する報道やブログは、混乱しているといえるかもしれない。なにしろ「自動運転車」というひとかたまりの存在について意味のあることをいえる時代はとうに過ぎ去っているのだ。何がどうなっているのかを語る際には、どの種類の自動運転車について語っているのかをはっきりさせる必要がある。

ライターや評論家が「AVシティの問題」を上から目線で説くのは勝手だが、まず自分たちが取り上げている自動運転車がどのセクターのものなのかを説明する必要がある。技術的、運用的、ビジネス的な要素があまりにも多様であるため、ひとくくりに語っても意味がないのだ。このような事情から、今回は3つのパートにわたって、現在の自動運転車の幅広さを解説していこうとしている。

基本的な自動運転車の区別は、車の中に何があるか、つまり「人」か「モノ」かで行われる。パート2の今回は「人の移動」に焦点を当てる。

2つの異なるドメイン:私用か商用か


「人の移動」は、自家用車や商業的に運営される移動手段で行われる。それぞれについて、順を追って話をしよう。

Argo.AI(アルゴ)の閉鎖を受けて、フォードのジム・ファーレイCEOの「収益性の高い、完全自動運転車の大量生産はまだまだ先の話だ」という発言が大きく取り上げられた。もし彼が個人所有の乗用車のことをいっているのであれば、納得できる話だ。だが、人を運ぶ商用車両について言っているのであれば、やはりチャレンジングではあるものの、話は大きく変わる。掘り下げていこう。

個人所有車両の自動運転


「先進運転支援システム(ADAS)は1990年代に登場し、その後着実にその機能を進化させてきた。パート1で述べたように、現在、主要な乗用車OEMが提供する「最先端」機能は、ドライバーが運転を完全に車両に委ねつつも、必要があれば再び運転に戻るSAEレベル3のADASだ。

なので手を離し、足を離し、目を離しながらも、注意は常に行っていなければならない。
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翻訳=酒匂寛

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