世界中で行われているさまざまな自動運転バスのプロジェクトの中から、いくつかを紹介する。英国のCAVForth(キャブフォース)プロジェクトは、スコットランドのエジンバラ近郊で、ドライバーレス対応のフルサイズバス5台を配備している。2022年夏には旅客輸送の運行が開始された。英国の法律で定められているため、今のところ運転手がバスに同乗している。CAVForthは、UK Centre for Connected and Autonomous Vehicles(コネクテッド自動運転車[CAV]のための英国センター)と民間からの共同出資を受けている。
コネチカット州道路局は、米国連邦交通局(FTA)とともに、ハートフォード地域のバス経路にフルサイズの自動運転バスを配備するプロジェクトに資金を提供している。バスメーカーのNew Flyer (ニューフライヤー)とRobotic Research(ロボティック・リサーチ)は、北米初の完全稼働大型自動運転バスと呼ぶべき「Xcelsior AV」を開発した。このプロジェクトは、FTAのIntegrated Mobility Innovation(統合移動イノベーション)イニシアチブの資金援助を受けている。香港国際空港では、過去数年間約8万マイルを無事故で走行した実績を元に、2023年からドライバーレスバスを配備する予定だ。同空港では、BYDの14人乗りバスが使用されている。2023年春には日本の道路では自動運転バスが走行可能になる。日本政府は2025年度までに全国40地域以上に自動運転バスを配備する目標を掲げている。政府発表によれば、この施策は人口が減少している地域を支援するためでもあるという。
これらの例が示すように、バスの自動化における活動のほとんどは、ある程度公的資金に依存している。先進国の多くでは、交通機関への強力な資金援助が常識となっている。米国では一般的に交通機関への投資は少ないのだが、先日成立した超党派インフラストラクチャー法の大盤振る舞いによって、米国でも自動運転バスの機運が高まってくるかもしれない。
街中でのロボシャトルとなると、その状況はさまざまだ。これも地理的な条件によるものが大きい。Transdev(トランスデブ)は、Navetty(ナベティ)リサーチプロジェクトの自動運転型電動シャトルが、フランス・イヴリーヌの複雑な日常交通環境において完全な無人運転を実現したことを発表した。これは欧州初となる。なおこのシャトルにスーパーバイザーは同乗していない。