ビジネス

2023.01.03

自動運転車の現在(2)「人を移動させるロボット」

ロボタクシー車内(Getty Images)


米国では、都市単位でのモビリティへの取り組みや企業・大学キャンパスなどが、ロボシャトル市場を牽引してきた。自動運転車の黎明期には、野心的なスマートシティの市長たちが、有権者やジャーナリストに話題提供する目玉として、動きの遅いロボット・シャトルをあちこちに登場させていたようだ。

実用性や投資対効果の面では賛否両論もあったが、それなりに機能していた。May Mobility(メイ・モビリティ)は、少なくとも米国では、最も長期にわたって継続しているロボシャトルプレイヤーだ。彼らは「自律型マイクロ交通サービス」を提供する複数のプロジェクトを遂行中だ。たとえばミシガン州アナーバーの市職員と協力し、無料の自動運転配車サービスであるA2GOを提供している。フロリダ州では、ジャクソンビル交通局が、アルティメット・アーバン・サーキュレーター(究極都市循環)と呼ばれる交通サービスの大規模なアップグレードにロボシャトルを使用する予定だ。初期段階の資金調達は終わり、プロジェクトは進行中だが、実際の旅客サービスの開始時期は発表されていない。

ここまでお話した乗客移送プロジェクトは、今後もそれぞれのプロジェクトの中で開発・展開されていくことだろう。人の移動のための、純粋な商用世界では、ロボタクシーが大規模な利益を実現するための鍵になる。Waymo(ウェイモ)とCruise(クルーズ)がすでにいくつかの都市で一般市民に自動運転乗車体験を提供しているおかげで、都市部や郊外における自動運転が効果的かつ安全に行えるかどうかについては、もう本当の意味での議論が出てくることはないだろう。各社の発表によれば、展開はまだ初期段階だが、今後数カ月から数年のうちに大幅に拡大するとされている。また、現代自動車とサプライヤーのAptiv(アプティブ)が提携したMotional(モーショナル)も参入している。

GMのメアリー・バーラCEOは、最近、Cruiseへの投資を継続することを認めた。Cruiseは、2022年内(もうあまり時間がない!)にフェニックスとオースティンに進出し、2023年にはさらに多くの都市での展開を予定していると発表している。先発のWaymoは、第3の拠点となるロサンゼルスに、まもなく事業を拡大すると発表した。Motionalは、Lyft(リフト)とUber(ウーバー)をプラットフォームパートナーとして、来年からいくつかの都市でロボタクシーサービスを開始すると発表している。新しい地域に進出するプロセスを合理化することで、規模の拡大が可能になるため、こうした拡張の発表は鍵となる。そして、それがひいては利益と市場支配の鍵になるのだ。謎に包まれたZoox(ズークス)はどうなっているのだろう? 親会社のアマゾンは、すでに年間10億ドル(約1328億円)規模に達しているロボタクシー子会社への支出を、2023年にはさらに増やすとしている。
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翻訳=酒匂寛

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