グーグルの自動運転部門出身のエンジニア、ブライアン・サレスキーが率いるアルゴAIは26日、2000人の従業員にこの状況を伝え、一部の従業員はフォードでの仕事を提示されると述べた。フォードは、アルゴAIが新たな投資家から追加資金を得られなかったため、資金提供を中止し、代わりに自社の運転支援技術に注力することを決定したという。
「当社がアルゴAIに投資した2017年には、2021年までにレベル4のADASを広く市場に投入できると予想していた。しかし、状況は変わった」と、フォードのジム・ファーリーCEOは決算発表で述べた。「我々はレベル4のADASの将来を楽観視しているが、収益性の高い完全な自動運転車両が大規模に導入されるのはずっと先の話であり、我々は必ずしもその技術を独自に生み出す必要はないと考える」
ADASとは、先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System)を意味する用語で、「レベル4のADAS」は、人間がハンドルを握る必要のない車両を指している。
アルゴAIは、フォードがアルファベット傘下のウェイモやGMが支援するクルーズに追いつくために始めた野心的な取り組みの一部だ。フォルクスワーゲンは2019年、アルゴAIに26億ドルを出資し、このベンチャーに参加した。資金力のある自動運転テクノロジー企業の一社としてマイアミやオースティン、ピッツバーグで走行テストを行ったアルゴAIの解散は、驚きをもって受けとめられている。
今後はウェイモとクルーズが2強に
「今後のこの業界は、ウェイモとクルーズの2社がリードしていくことになる。現時点では、業界の統合が進むのは健全なことだ」と、自動運転技術とモビリティ関連のアドバイスを行うコンサルティング会社Brulte & Co.のGrayson Brulteは述べている。
商業的に採算がとれる自動運転車両を作るという課題は、この分野の擁護者たちが予想していたよりもはるかに複雑であることが判明している。
現状で自動運転サービスで収益を上げているのは、ウェイモとクルーズの2社のみだ。ウェイモはフェニックス郊外の一部で24時間体制のロボットタクシーサービスを展開している。クルーズは、サンフランシスコで交通量の少ない夜間を中心に限定的なロボットタクシーサービスを開始し、ウォルマートと共同で配送サービスも行っている。
注目すべきは、アルゴAIの解散の直前の25日には、今年IPOした数少ない自動運転テクノロジー企業の1つであるインテルが支援するモービルアイがニューヨークで上場したことだ。また、同じタイミングで米司法省は、テスラが同社の車両が自動運転に対応すると顧客を誤解させたとして、刑事捜査を開始した。
フォードの株価は26日の市場でほぼ変化がなかった。
(forbes.com 原文)