ビジネス

2023.01.03 14:00

自動運転車の現在(2)「人を移動させるロボット」


レベル3(L3)システムは、すでにBMW、ホンダ、メルセデス、ボルボが市場に投入している。現代自動車は、2023年に韓国でL3機能を投入する予定だ。フォードやフォルクスワーゲン(VW)は、Argoの元スタッフの専門知識を活用することになるだろう。

L3システムの能力はかなり成熟している。居住地によっては、すぐにでもL3搭載車を購入することができる。しかし、L3システムの使用は、政府の安全機関が承認する必要があったり(欧州)、あるいは規制が明確でない環境(米国)であったりすることで制限される場合がある。規制が不明確な場合、法的な状況は非常に不安定なものになる。顧客の手に渡る製品に関しては、OEMはそうした泥沼に足を踏み入れることはないだろう。現在OEMと政府機関がこの問題に取り組んでいるため、個人的には2023年あたりにはL3の利用が広く普及するようになるだろうと楽観視している。

L3が広く導入されることで、自動車ユーザーの世界は大きく変わるだろう。L3以前のシステムでは、運転タスクを車両と運転席の人間が分担しているため、道路から目を離すことはできず、ハンドルに手を置いたままにする必要もあるだろう。こうした先駆的システムは、運転の手間を軽減する大きな働きをしている。しかし、L3に関しては、そのユーザーにとってのメリットは、他のあらゆるADASのイノベーションを凌駕している。L3を使えば、利用者はスマホ、本、映画、通り過ぎる景色など、好きなところに視線を向けることができる。L3は、生産的な時間を取り戻してくれるのだ!

L3はホンダが最初に導入した。同社の「トラフィックジャムパイロット」システムは、高速道路上では時速19マイル(時速30キロ)以下で作動を開始し、時速31マイル(時速50キロ)を超えるまで機能が維持される。日本では2021年、わずか100台の車両に提供された。そういう意味では、これは製品というよりも宣言的な意味が強い。しかし最近、ホンダは「2020年代後半(2029年まで)に、高速道路での法定制限速度以下のあらゆる速度で機能するようにL3機能をアップグレードする」と発表した

なんだかのんびりしているなと感じたと思う。だが自動車メーカーは、スタートアップ企業や新しい市場を創造する企業とは異なり、新しい機能の導入を急ぐことはない。その動きを駆り立てるものは、主に競合他社だ。横目で見ながら、ライバルに追いつけ追い越せで、自分のポジションをキープしていくのだ。
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翻訳=酒匂寛

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