テクノロジー

2023.01.10 10:00

自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)

かつて「AVトラック(自動運転トラック)」は、単に「ドライバーレスの長距離トラック輸送」として語られた時期もあった。だがそんな時代は過去の話だ。自動運転に適したトラック輸送のユースケースは、急速に拡大している。「自動運転車の現在」の最終回となる今回は、自動運転車(AV)に関するさまざまな情報を整理し、展望を述べてみたい(第1回第2回)。この記事では、企業ごとの詳細なレビューというよりも、さまざまなレベルの動きを見せる自動運転トラックのユースケースを紹介したい。

シートベルトの準備はOK? 以下ではまず、オフロード(公道以外)でのユースケースから説明する。オフロードでのユースケースは、路上での運用同様に、現在とても注目されている。そしてその次に、古典的な長距離トラック輸送の世界を眺めてみる。この世界には、ドライバーレス運用(「レベル4」または「L4」とも呼ばれる)のためにさまざまな細分化されたユースケースが存在していて、長期的な成功を定義する上で重要な意味を持っている。

オフロードでのユースケース


未舗装の地形を考えると、オフロードでのユースケースは、簡単な運行環境ではないかもしれないが、少なくとも対処すべき公共交通や車両安全規制はない。鉱業、建設業、農業などの産業分野では、自動運転がブームになっているが、商業用の自動運転トラックは、10年以上前にキャタピラーとコマツがモンスター級の鉱山運搬用トラックを発売したのが最初の例だ。近年では、Pronto.ai(プロントAI)、SafeAI(セーフAI)、RRAIがこの分野で活躍するようになり、さまざまな車種やサイズで、その他の運搬ニーズに応えている。今のところ、SafeAIだけが顧客を公表している(たとえば日本の建設会社である大林組など)。

トラック・重機メーカーは、以前からこのゲームに参加している。最近、ボルボ・グループの子会社であるボルボ・オートノマス・ソリューションズ(VAS)の社長ニルス・イェーガーが、自動運転トラック輸送に関する複数の戦略について説明した。VASが最初に進出するのは、採石業や鉱山業向けのオフロードオートメーションだ。2018年からVASはノルウェーのブロンノイ・カルク鉱山で自動運転トラック輸送を提供しているが、現在は運転席にセーフティドライバーが同乗している。また、スイスでも同様の運用が進行中だ。

タイミングのダイナミズムがビジネスチャンスを生む。OEMが新製品を市場に出すのには時間がかかりがちだが、現在は産業用オートメーションに対する需要がある。すでにSafeAIは、顧客の既存車両に自動運転機能を後付けすることで、オフロード市場に参入している。
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翻訳=酒匂寛

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