自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)


トレーラーシフト:舗装されたオフロードで


自動化されたオフロード運用のもう1つの側面は、物流センターにおける 「トレーラーシフト」だ。このユースケースでは、自動運転の牽引車がトレーラー(牽引される車両)と自動的に連結して、搬入口と敷地内の保管場所の間を往復する。これらの車両は100%「ゲートの中」で運行し、公道に出ることはない。私の知る限り、Fernride(ファーンライド)、ISEEOutrider(アウトライダー)、RRAIがこの分野で活躍している主な企業だ。FernrideはオランダでDB Schenker(DBシェンカー)と継続的に試験を行っている。

ISEEはMaersk(マースク)ならびにLazer Spot(レーザー・スポット)とのパイロットプロジェクトを発表している。Outriderは、 Georgia-Pacific(ジョージア・パシフィック)をはじめとする、荷物の配送、小売/電子商取引、製造業などの大企業を相手に、大規模な試験を実施してきた。RRAIは現在、倉庫、ドレージ(コンテナ陸送)、港湾、その他のラストマイル/ファーストマイル環境におけるターミナルトラクター(港湾施設内のコンテナヤードなどで輸送コンテナを移動させるために使用される特殊車両)、クラス8トラック(およそ15トン以上の大型トラック)、先進トレーラーの自動化に特化した、製品開発、顧客デモンストレーション、試験、トレーニングのための新しい物流・流通自動化施設を建設している。

トラック運送会社の経営者と話したことがあるが、彼らは、公道で本格的に運用する前にAVを試してみる手段として、まずターミナルトラクターを試すことを好んでいる。私の感覚では、現在、数十台の自動化ターミナルトラクターが顧客の現場で後期パイロット版として稼働しているが、これらはやがて製品版に移行する可能性が高いと思う。

遠隔運転の役割とサポート


配備の方法によっては、オフロードとトレーラーシフト運用の両方に対して遠隔運転が検討され得るが、私の知る限り、開発者の大半は自律型自動運転に焦点を当てている。遠隔運転の有無にかかわらず、最適な効率を確保するために「リモートサポート」機能によって、必要に応じて人間の監督者が操作入力を送信することができる。

公道での走行


トラックの自動運転というと、アメリカ南西部の砂漠のハイウェイを疾走するロボット大型トラックのイメージが一般的だ。しかし、トラックがどこの公道を走ろうとも、自動運転にはあるビジネスケースがあてはまる。

トラックは、コンテナを港や鉄道ターミナルから倉庫や物流センターまで運ぶ。場合によっては、これらの「ドレージ」移送は、プライベート環境内の大規模な物流施設で行われている。だが、多くの場合、トラックは地方道路の短距離区間でコンテナ移送をしていることがほとんどだ。自動車製造によく見られるが、製造地域内の部品工場と製品生産工場との間でモノを移動させる場合にも、同様のユースケースが存在する。採掘された資源を採掘地点から作業現場に移動させるために、路上での短時間の移動を行うこともある。これらのユースケースは、現在は規制当局の認可を必要とせずに、実装することが技術的に可能だ。
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翻訳=酒匂寛

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