Waymo Via(ウェイモ・ビア)は、アルファベットによる一貫したバックアップによって、非常に強い立場を保っている。Waymoの最初のL4製品がリリースされれば、有力な貨物業者であるC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)とのパートナーシップが強力な組織を生み出すだろう。同様にUber Freightとの提携も、さらなる強みを付け加えるだろう。Waymoが顧客のために、ダイムラーを使って製造したL4対応トラックが納車された。Waymoは、ダイムラーから量産車を購入する時期や規模、本格的な商用化の時期については何の情報も出していない。Waymo Viaは、トラックを使ったあらゆる種類の貨物輸送をターゲットにすることもウェブサイトで示している。したがって、ビジネスの可能性を見出せば、ここで説明してきたような路上ユースケースに参入してくる可能性がある。
トラックメーカーはどうする?
スタートアップとは異なり、OEMは根本的な資金難に陥ることはないだろう。彼らの収入は通常のトラックを販売することで得られている。もちろん、自動化プログラムの予算は組織内で増やしていかなければならず、自動運転の製品化に使える資金は、電動パワートレインやその他無数の優先事項に対する他の社内投資によって決定する。
トラックメーカーのダイムラー、Iveco(イヴェコ)、PACCAR(パッカー)、Traton(トラトン)、ボルボは自動運転トラックに非常に積極的だ。北米と欧州の大型トラック・サプライヤーの大半を占めているのがこれらの企業だ。また、電動パワートレインの分野にはNikola(ニコラ)やテスラなど、重要な新進企業が存在しているが、彼らも今日の業界で存在感を示すために、何らかのかたちで運転支援や自動運転を提供する可能性が高い。
ダイムラートラックは、高速道路での運用に狙いを定めている。Daimler Trucks North America(北米ダイムラートラック)のマーチン・ダウムCEOは、長距離の自動化アプローチには合理的なタイムフレームがあり「10年以内に」スケールアップする見込みだと述べている。ダイムラーは、伝統的にハイテクシステムの導入でトラック業界をリードしてきた。重要なのは、ダイムラーは自動運転車(AV)に対して使える、Torc(トルク)とWaymoという2つの強力な馬を持っていることだ。
スタートアップ企業との提携は当たり前のように行われてきた。
Tratonは、TuSimpleとの関係を解消した後の選択肢を検討中だ(詳細は後述)。
IvecoはPlusと提携している。2021年9月に欧州で開催されたIAA(Internationale Automobil-Ausstellung)での共同プレスリリースでは、公道走行試験に向けてPlusDriveをS-WAYトラックに搭載し「IvecoとPlusは最初のステップとして半自動製品を製造し、最終的に完全自動運転車の製造に備える道を開く」と説明している。
PACCARは、Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)を使って自動運転を導入する予定だ。ボルボ・グループにとって高速道路上の自動運転は、VASのイェーガーが取り上げた3つの対象のうちの3番目だが、彼らの馬もやはりAuroraである。
12月にボルボ・グループは、Uber Freightと提携し、大きな発表を行った。それは「ボルボが「ハブ間の」自動運転サービスの試験運用を行い、Uber Freightを使う荷主に自動貨物輸送能力を提供する」というものだ。もし私がこの発表を正しく読み解けているのなら、この動きの意味は非常に大きい。つまり、トラックメーカーが単なるトラック販売業者ではなく、貨物輸送業者になることを意味するからだ。AVトラックのプロトタイプが初めて走ったときから、その潜在的な影響については議論されてきた。前述のように、ボルボはすでに欧州の事業所で鉱物資源の輸送に携わることで、この世界に関わっている。ボルボのトラックを買う顧客は、サプライヤーとしてのボルボをやがてライバル視するようになるのだろうか? この動きはボルボにとってビジネス的に理にかなっているとしても、顧客との関係は非常に厄介なものになる可能性がある。