閉塞感が漂ういま、求められるきゃりーぱみゅぱみゅの存在。彼女はコロナ禍に何を想うのか?

日本のポップアイコン・きゃりーぱみゅぱみゅ


日本の伝統文化を、自分らしく変換して伝える


──そもそも、「かまいたち」をテーマに新曲を作ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
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楽曲は中田ヤスタカさんが考えてくれたんですけど、中田さんもわりとアニメとか漫画を見てるみたいで、「見てたら閃いた」みたいな感じでおっしゃってました。

ただ、ひらがなで「かまいたち」って見たときに、私も最初にお笑いの「かまいたち」さんを想像してしまったし、令和を生きる人たちはきっとそうだと思うんです。なので、逆に一緒になにかできたらいいなと思って、かまいたちさんにミュージックビデオの出演オファーをさせていただきました。特殊メイクをやってくれた快歩さんもすごく気合いを入れて、かまいたちのお二人の骨格とか目を生かして作ってくれたので、ちゃんと魂が宿った妖怪になったなって思います。


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──ツアーは全国の歌舞伎小屋・芝居小屋でやられる予定でしたが、「KAWAii」とはまた違った面から日本の文化を世界に発信したいという想いもありましたか?

私は必ず楽曲ありきで世界観を作っていて、大好きな中田さんが作ってくれる楽曲を自分なりに解釈して楽しく発信していきたいと思っているんですけど、アルバム「じゃぱみゅ」も日本をコンセプトにしていただいてたり、「音ノ国」という楽曲も、そして「かまいたち」も、どこか日本らしさとか和がモチーフになっているので、表現する方としても日本がコンセプトになっていますね。おそらく、中田さん自身、ちょっとそういう楽曲に興味があったりハマったりされているんだと思います。

でも、「ザ・日本」とか「ザ・和風」っていうよりは、「ネオ・ジャパン」という感じで、自分らしく変換した日本にしたいなと思ってます。自分の中には天邪鬼な性格があるので、「こうくるだろうな」みたいに思われることは避けて、バランスを面白くできるように考えていますね。

──伝統文化に対して天邪鬼な表現をやるのは、反感を買うリスクもあると思うのですが、そのあたりのきゃりーさんとしての信念はいかがですか?

意外とあいだを取ってやってるというか、そういうプロの方が見て怒らないレベルの調節を取ってます。たとえばかんざしを挿すときとか、必ずプロの方に「この組み合わせって、プロの人から見ても大丈夫ですか?」って聞いたり。今回の「かまいたち」のミュージックビデオでも、三蔵法師のときに首から下げてたのは修行僧が本当に着けているもので、それをカラフルでポップにデコレーションすることで、すごく可愛い世界観に持っていくということを、スタイリストさん(高橋毅)もこだわってやってくれました。

インスタグラムは外国の方もたくさん見てるんですけど、昔、インディアンの衣装を着てたら、今世界的にも問題になってる「文化の盗用」みたいに言われたことがあって。「本人じゃないのに着るな」とか、ちょっとだけ英語で炎上しちゃったんです。でもだからと言って、私は日本人だから着物しか着ないというのもすごく寂しいので、バランスを取りながら挑戦していくのがいいのかなって思ってます。

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写真=アソビシステム提供
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テキスト=矢島由佳子

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