閉塞感が漂ういま、求められるきゃりーぱみゅぱみゅの存在。彼女はコロナ禍に何を想うのか?

日本のポップアイコン・きゃりーぱみゅぱみゅ


一時期は、ちょっとメンタルのバランスが難しいなって思ってたんです。ツアーとか『コーチェラ』の内容についてスタッフとミーティングをしていても、海外では結構死者が出てたり『SXSW』が中止になってるのとかを見ていたので、自分の中では「もう、これきっとできないな」っていうふうに思ってて。そういうふうに思うようにした理由は、一個あって……あまりにも本気で考えすぎていたら、なくなったときにめちゃくちゃ絶望感が出るから、自分の中でストッパーをかけていたんですよね。でもそれって、仕事をする上であんまりよくないなとも思ってたから……打ち合わせのあと、自分の中で落ち込む、という時期がありました。
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──先が見えないのってこんなにもしんどいのかと、新型コロナウイルスによって改めて思い知らされます。

うーん……夢とかに出てきますね。いや〜な夢ばっかり見るんですよ。普段、意図的に気にしてないふうでいるんですけど、本当は不安とかもあるし、いろんなことを考えすぎてて。メンタルがややよくないのとか、本当は不安な感じとかが、夢に出てるのかもしれないです。

──震災のときもそうでしたが、「音楽やエンターテイメントの価値ってなんだろう」ということを、アーティストもスタッフも問い直している状況だとも思います。きゃりーさんとしては、音楽やエンターテイメントが人や社会にできることを、どういうふうに考えていらっしゃいますか?
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生きていて落ち込んだり悲しくなったときとかに、曲を聴いて助かることはあるので、それはこういう状況でも同じなのかなと思います。特に私の楽曲って、歌詞に意味はあるんですけど、あんまりどっしり構えて聴いてもらう楽曲でもないので、リズムに乗ったり明るくなってもらえたりするといいなって思いますね。

今は小さい子たちも保育園とか幼稚園に行けなくて退屈だろうし、お母さんやお父さんも大変だと思うんです。私の楽曲を聴いて踊ってくれる子も多いので、YouTubeとかで曲を流して踊ってくれたらいいなと思いますね。今、子どもが泣き止まなくて家庭内暴力が起きてたりもするみたいなので、そういった場面でも動画を見ていただけたらいいなって。

──きゃりーさんがこれまでずっと作られてきたエンターテイメントって、ファンタジーを実現してくれたり、夢みたいなことを現実で起こしてくれるもので。「自分の手で現実を塗り替える」というのは、単なる現実逃避とかではなく、現実を楽しむ手段のひとつとしてとても大切だと思いますし、特にこういう状況でこそ、そういった物の見方の提案が人の気持ちを軽くすることもあるんじゃないかなと思います。

いろんな状況の人がいて、この先どうなるのかなって不安もある中で、今回「かまいたち」という楽しい新曲とミュージックビデオをお届けすることによって、ちょっとでも気持ちが元気になってくれたり、「ああ面白かったなあ」って思ってくれればいいなって、そういう想いを込めました。妖怪のラブストーリーみたいな、おとぎ話みたいな可愛らしい楽曲になっています。
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テキスト=矢島由佳子

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