グーグルは、同社の第3世代モデル、スマートウォッチPixel Watch 3に搭載された「脈拍喪失検出機能」の仕組みについて、さらなる詳細を明らかにした。この機能は、心臓発作を起こした人の命を救うだけでなく、「呼吸不全や循環不全、薬物の過剰摂取」などのケースで心臓が停止した場合にも有用だとされている。
同社はすでに、この機能がユーザーの脈拍の喪失を検出した際に緊急通報を発信し、ユーザーの緊急連絡先にメッセージを送信するものだと説明しているが、3月20日に公開した公式ブログの記事で、その仕組みと開発過程に関する詳細を伝えている。
グーグルによればPixel Watch 3の脈拍喪失検出機能は、3つの主要な指標に基づいている。
その1つ目は、デバイスの背面に搭載された光学式心拍センサーが、心拍信号の喪失を検知するというものだ。グーグルによれば、Pixel Watchは、LEDを使って人間の皮膚に光を当てて血流の変化を検知するPPG信号から、交流(AC)成分が突然大きく低下した場合に、心拍の停止に気づくという。
このデバイスはさらに、PPG心拍センサーと加速度計からのデータを解析する「機械学習アルゴリズム」も活用している。そして3つ目の指標としては、「異なる構造や波長、LED電流、フォトダイオードのゲイン設定を持つLED」を使用した「追加のセンサー」からのインプットも使用している。この「追加のセンサー」に関する明確な説明はないが、文脈からすると血中酸素濃度を測定するセンサーのことだと考えられる。
グーグルは、この機能の開発にあたって、心臓電気生理学の専門医やその患者たちを交えた研究を行ったという。ここにはおそらく、前述の「機械学習アルゴリズム」の開発も含まれると考えられる。ユーザーの心臓が停止した状況を実際に再現することは倫理的にも困難であるため、こうした研究者との取り組みが、この機能の開発に不可欠だったとグーグルは述べている。
Pixel Watch 3の脈拍喪失検出機能の意義を伝えるために、グーグルはこのブログで重要な背景も説明している。この機能は、病院外で倒れた患者の「目撃されていない院外心停止(OHCA)」を目撃されたものに変えることを目的としている。
ただしこの場合、それを目撃するのは人間ではなく、ウェアラブルデバイスだ。Pixel Watch 3の脈拍喪失検出機能は、まずは音と振動によってユーザーにアラートを通知し、それに反応がなかった場合に緊急通報を発信し、ユーザーの緊急連絡先にメッセージを送信する。