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2019.11.25 19:00

がんの確率、ほぼ100%──|乳がんという「転機」 #1


そんななかで、乳がんでもなんでもない人が、「髪は女の命、乳房は女のシンボル」と書いている記事に遭遇した。何でもわかっているような顔をして書いた、あまりに薄っぺらい内容に、パソコンごと燃やしてやろうかと思うほど頭にきた。なんと心ない言葉だろう。気軽に語るな。言葉が軽すぎる。抗がん剤で毛髪を失ったり、手術で乳房を失ったりして苦しんでいる人たちの目に触れないことを祈った。

一方で、実際に片方の乳房を全摘したというある30代女性は、全摘の決断に迷いは一切なかったと言う。その理由として、「おっぱい一つなくなったところで、私の女性らしさはこれっぽっちも失われない」と言い切っていた。かっこいいな、この人。会ったこともないこの人には、強烈に勇気づけられた。探し出して、直接御礼を言いたいほど。

そもそも「女性らしさ」ってなんだろう。多くの女性が持っているおっぱいがなくなれば、女性ではなくなるのか。そんなわけはない。私の場合は、病気になってしまったら、もはや女性がどうこうよりも、人としてどれくらい生きることができるのか、日々どんな人として生きるのかで精一杯になるだろうな、と予感した。

全摘、部分、どちらを選択するかは、それぞれのケースで違ってくるわけだが、悩みすぎて決断を先延ばしにしすぎるのはやめたほうがいい。がん細胞は待ってくれない。初期治療は、止まってしまうより、先に進めたほうがよい。その意味で、乳がんでない人も、もし自分が乳がんになったら、そして全摘か部分摘出かを選べたらどうするか、日頃から考えておくとよいのかもしれない。

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新卒で入った会社で25年間働き続け、仕事、育児、家事と突っ走ってきて、「働き方改革」のさなかに乳がんに倒れた中間管理職の、がんビフォーアフターを綴る連載「乳がんという『転機』」をはじめます。筆者は電通 チーフ・ソリューション・ディレクターでForbes JAPANオフィシャルコラムニストの北風祐子さん。

初動から立ち直るまでのブログ的記録。11人に1人が乳がんになる時代、大親友がたまたま医師だったおかげで筆者が知ることができたポイントを、乳がんの不安のある女性たちやその家族に広く共有し、お役に立てていただけたらと考えています。

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文=北風祐子 写真=小田駿一

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