経済・社会

2019.01.06 20:00

良いリーダーシップの敵は時間 ペースダウンの大切さ

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私には「10分ルール」というものがある。誰かとバーチャル会議(電話、スカイプ、ズームなど)をする場合、相手が開始時刻に間に合わなかったら、10分間だけ待って会議をキャンセルする。無作法なわけではない。自分のスケジュールを守るためだ。

先日、午後12時半からの電話会議の予定が、12時40分になろうとしていたので電話を切ろうとしていたところ、相手がものすごい勢いで電話口に現れた。

「ごめんなさい、ダンさん」。彼女はゼイゼイしながら謝った。「前の会議が遅くなって、オフィスまで走ってきたんです」

こんなことは日常茶飯事だ。時間厳守は、いまや有害なものとなった。

2週間前は、4人を相手にした対面会議があり、奇跡的にも全員出席の上、定時に始められた。

30分程経った時、1人の電話が騒々しく鳴った。重要事項について深く議論中だったにもかかわらず、その人は電話をつかむとメッセージを読み、すぐに部屋を退出しようとした。

「皆さんすみません。今すぐ上司の所に行かなくてはならないんです。できるだけ早く戻ります」

彼は帰ってこなかった。

職場は「行動のお祭り」状態となり、誰もが常に何らかのアクションを取っている。ほら、あっちを見てみて! あの人たちがやっているのは、将来の顧客とのミーティングに関するミーティングを準備するためのミーティングです──。

振り返りや、立ち止まり、観念化、ましてや良い決断をするための時間はどんどん減っている。さらに、この「常にオン」な精神状態は、人々やプロジェクトを率いる上でも悪影響を及ぼす。

会議から会議へと急ぐ。遅刻する。早退する。メールを確認する。返信する。子どものサッカーの試合を観ているべき時に、報告書を書く。電話会議に集中するふりをして、11時からの会議用のプレゼン資料を作る。

部下を指導中だったリーダーが突然、別の予定があったことに気づく。上司と部下のランチミーティングは、上司が呼び出されたことで短縮される。60分の予定だったランチは30分になる。部下は冷めた様子で「ないよりはましか」とこぼす。
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編集=遠藤宗生

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