後悔にさいなまれているとき、特に不安や失敗に直面している場合、たいていの人は過去に囚われた状態でセラピーを受ける。そして次のような言葉を口にすることが多い。
・もっと愛情あふれる家庭に生まれていたらどうなっていただろう」
・「あの人と結婚していたらどうなっていただろう」
・「すべてを正しく行っていたら、私の人生はどうなっていただろう」
これらはすべて反事実的思考の形態だ。過去の出来事について実際よりも完璧に展開していくシーンを構築しようとする心の働きで、事実とは異なる輝かしいバージョンを思い描く。過去の出来事を頭の中でなかったことにしたり、やり直したりする際には気づかないかもしれないが、そうすることで発生する精神面の負担は長期的にはかなりのものになる。
2009年に発表された文献レビューによると、「反事実的思考は不幸への対処の困難さ、非難や責任の判断、抑うつや不安の症状、後悔の気持ち、迷信的な信念、過去の予測可能性に関する過信、将来の出来事への予想に関連している 」という。
「あの時〜していたら」という考え方をすることで、往々にして気づかないうちに引きずり込まれている3つの心理的な「罠」を下記に挙げる。