1. 前進する気を失わせる後悔の念を引き起こす
「あの時〜していたら、どうなっていただろうか」という考え方は上向きの反事実的思考と結びついている。これは、もし違う選択をしていれば人生はもっと良いものになっていたかもしれないと想像する傾向のことだ。この思考は珍しいものではなく、時に有用なこともあるが、こうした過去の理想化されたバージョンを思い描くことがあまりに頻繁だと代償を払うことになることが研究で示されている。
専門誌『クリニカル・サイコロジー・レビュー』に2017年に掲載されたメタアナリシスでは、上向きの反事実的思考とうつの症状の間に有意な関連があることがわかった。1万3000人以上を対象に行われた研究からは、頭の中での過去の書き換えを行うことが多い人ほど、後悔や自責の念、感情面での苦痛を経験する傾向にあることが示された。
後悔は洞察につながれば役に立つ。だが後悔が慢性化し、繰り返されると、過去に囚われ、前進するために今必要なエネルギーが枯渇してしまう。
代わりに以下のような措置が取れる。
・頭の中での独り言の文言を変える:「あの時〜」ではなく、「今私にできることは何だろう」と考える
・非難ではなく、教訓を得る:後悔で明らかになった個人的な価値や目標について考える
・得られた洞察を自分を罰するためではなく、やる気を起こさせるために使う:感情面の苦痛を和らげるだけでなく、ネガティブな経験から人生の教訓のような具体的価値のあるものを確実に得ることができる。これが、新しい方法で行動を起こす原動力となる。
・未来志向の思考を実践する:うまくいかなかったことを考え続けるのではなく、まだ取り組めることに気持ちを集中させる。この手法は、「自分ならできる」という思いを強めるのに役立ち、ゆっくりだが確実に将来反事実的な考え方をしなくなる。
例えば、昔の恋人との破局を思い出すとき、「あの夜、私が立ち去らなかったらどうなっていただろう。もう一度手を差し伸べていたら、あるいはあきらめずに事態の収拾を図っていたらどうなっていただろう」と考えるのは、単にその瞬間を思い出しているだけでなく、気持ちの整理がついていない自分を再び呼び起こしている。
過去を書き換えることはできないが、次に重要な決断を迫られたときにどうするかを決めることはできる。


