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ビジネス

2025.03.24 08:00

週100時間労働も当たり前、「高給取り」で知られる投資銀行勤務の闇

Shutterstock.com

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投資銀行業務は、企業の合併買収や新規株式公開の調整、株式や債券の取引など多岐にわたり、巨額の富と社会的名声を得るための手段と見なされ、魅力的なキャリアの選択肢となってきた。

だが、米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)で昨年、社員2人が死亡したことを受け、大手投資銀行の若手社員の過剰な労働時間やワークライフバランスの悪さに焦点が当てられるようになった。

米ニューヨーク主任検死官事務所は、BofAのアソシエイトとして金融サービス会社の取引に携わっていたレオ・ルケナス(35)が2024年5月2日に急性冠動脈血栓で死亡したと発表した。検死官の報告書では、ルケナスの勤務記録と死因は直接結び付けられていない。他方で、米人材紹介業グレーフォックス・リクルートメントのダグラス・ウォルターズは英ロイター通信の取材に対し、ルケナスは週に100時間以上働いていたと証言した。ルケナスは勤務時間の短い仕事を探すために、ウォルターズと連絡を取っていたという。ウォルターズは、ルケナスから米ニューヨークのウォール街の基準では週110時間働くのが普通なのかと尋ねられたこともあると語った。

BofAには「バンカーズダイアリー」と呼ばれる、極度の疲労を監視するシステムがあり、週100時間以上働く社員に対しては、人事部が健康調査を行っている。だが、米ブルームバーグ通信によると、BofAの英ロンドン支店でクレジットポートフォリオを担当していたアドナン・ドゥーミック(25)も同月、会社の社外活動でサッカーをしている最中に心臓発作の疑いで死亡した。同銀行では、わずか数週間で立て続けに2人の若手社員が命を落としたことになる。

若手銀行員の重圧

長時間に及ぶ過酷な労働体制は、若手銀行員の負担となっている。2021年2月、1年目のアナリストら13人が、米金融大手ゴールドマン・サックスでの勤務経験に関する資料を作成した。この自主的に申し出たアナリストを対象にした労働条件調査はソーシャルメディア(SNS)上で拡散され、週95時間を越す勤務実態が明るみに出た。これら若手社員は午前3時頃から5時間程度しか眠れないと吐露。「職場の虐待」に苦しんでおり、心身に悪影響を及ぼしていると訴えた。

これを受け、ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は、特定の状況を除き、金曜日の午後9時から日曜日の午前9時までは社員の勤務を義務づけない「土曜日ルール」を実施すると表明。「私と当社の経営陣はこれを非常に真剣に受け止めている」と述べた。

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翻訳・編集=安藤清香

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