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時計

2025.03.20 16:00

市場価格が急落するロレックス、パテック フィリップ、腕時計投資で狙うべきモデル

i viewfinder / Shutterstock.com

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私は逆張り志向の人間だ。どの資産クラスでも過度に楽観的な意見を見かけると、その時点で手を引きたくなる。同時に、自分はどうしようもないコレクターでもあり、安価な「宝物」を見つけると手に入れたくなる。

子どもの頃から学んできたのは、値頃感で欲しいと思ったものは、数年後には価値が爆発的に上がることが多いということだ。金融商品ではそれが功を奏してきたが、コレクターとしてはまったく役に立たない。なぜなら、ビットコインを手放さない「ホドラー(長期保有者)」のように、自分の宝物をどんな大金を積まれても売る気になれないからだ。しかし、同時に値が大きく上がってしまうと、投資家としての自分が「これ以上は買うべきではない」とブレーキをかけるため、買い増すこともできない。

昔、まだやる気に満ちあふれていた頃に、時計収集の魅力に取りつかれた。当時は中古の時計が新品価格の10~20%程度で取引されていた。1990年代後半には、3万ドル(約448万円)のパテック フィリップがオークションで3000~5000ドル(約45万〜75万円)ほどで落札されていたので、いくらでも欲しくなる価格帯だったといえる。長期投資家にとっては絶好の機会だったが、同じ頃にはアップル株が(株式分割調整後で)1株数ドルで買えた事実もあるため、投資パフォーマンスという観点では株式市場のほうがさらに大きなリターンを得られた可能性が高い。

やがて、コレクション性の高い時計市場は大きく伸び、ブームが起き、バブル化し、そして今は典型的な崩壊局面にある。株式にせよ、暗号資産にせよチューリップの球根にせよ、ブームからバブル、そして崩壊に至るサイクルは同じだ。価格がロケットのように急上昇したかと思えば、石のように落ちる。時計は今まさに「石のように落ちている」段階にいる。

だが、これは一部の人々にとっては朗報だ。なぜなら、崩壊が起きれば必ず底値が生まれ、その底値は長く続く上にチャンスが多いからだ。そこは「真の愛好家」(私たちのような『どうしようもないコレクター』が自称する呼び名でもあり、オークションハウスも、われわれを「投資家」と疑わない場合はそう呼ぶ)にとってのワンダーランドであり、また、今まで高すぎて「時計という列車」に乗れなかった人々にとってもチャンスが到来する。チケットが売り切れか、あるいは値段が手の届かない領域だったものが、今や魅力的な品として市場に戻ってくるからだ。

このリセットは遅かれ早かれ起きていたはずだが、現在の世界的な経済状況を踏まえると、もし高インフレに転じないまま低迷が続くなら、世界のラグジュアリー市場は深刻な不況に陥ると考えられる。ここ10年の間に急拡大した超高級志向が、資金不足で維持できなくなるということだ。

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翻訳=酒匂寛

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