米国の労働者の66%が仕事で何らかの燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥っていることが、最近の調査で示されている。この割合は過去最高だ。バーンアウトは「サイレント・エピデミック(静かな流行病)」と呼ばれており、キャリアを台無しにするだけでなく、人を死に追い詰めることもある。
職場でうまく対処できないストレスを慢性的に抱えた結果、陥るのがバーンアウトだ。急かされるような今日の労働文化では、労働者はストレスや仕事効率の低下、疲労にひたすら耐えて働き続けている。ストレスを乗り切ることは強さのように思えるかもしれないが、仕事に耐えるというのは誤ったストレス管理法の一つであり、メンタルヘルスとキャリアの方向性に悪影響を及ぼす。
「耐える」ことが正解ではない理由
問題に対処せずにストレスに耐え続けると、バーンアウトに陥るリスクが高まる。メンタルヘルスを顧みなければ、うつや不安などの症状が悪化し、ワークライフバランスを取ることがいっそう難しくなる。
ストレスというのは特定の対処法で管理すれば克服できるが、管理されることなく蓄積し、極限に達すればバーンアウトが生じる。ひとたびバーンアウトに陥ると、簡単には抜け出せない。
仕事に忙殺されているとき、人は休みを取れば状況が改善すると思いがちだが、それは誤解だ。働くペースを落としたり長期休暇を取ったり、あるいは労働時間を減らしたりしても、バーンアウトから立ち直ることはできない。すでに燃料不足に陥っているため、休息や休暇では治らない深い疲労感を抱えているというのがバーンアウトの主な症状だ。
薬物やアルコールの中毒からの脱却をサポートするヘルシー・ライフ・リカバリーの精神科の看護師であるショーン・レナードは、「仕事で頑張り抜こう」とするとどうなるかを目のあたりにしてきた。レオナルドは限界に達する前に、メンタルヘルスのために以下の5つを実行するよう患者に勧めている。
1. 自分の気持ちを認める
「ストレスや不安、疲労を押し殺しても、なくなるわけではない。限界がくるまで蓄積されていくだけだ。自分の気持ちを認識することが第一歩となる」
2. 境界線を定める
「ずるずると仕事をすると、あなたから多くのものが奪われていく。断るべき時を知り、はっきり線引きをし、仕事以外の時間を確保すること。そうしなければバーンアウトに陥る」