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2025.03.24 08:00

週100時間労働も当たり前、「高給取り」で知られる投資銀行勤務の闇

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投資銀行の過酷な文化

投資銀行業界の過酷な労働文化は長年にわたって批判されてきた。若手社員は昇進するために上司に好印象を与えようと、週100時間以上の勤務に耐えている。上級社員が早い時間に仕事を切り上げる一方で、若手社員には退屈で時間のかかる仕事が割り当てられることが多く、夜遅くまで職場に残ることになる。激しい競争や常に迫りくる締め切り、攻撃的な雰囲気やストレスの多い環境、ワークライフバランスの欠如は、金融業界の精神衛生問題や燃え尽き症候群の原因となっており、健康的な生活を求めて離職を検討する社員も多い。

米経済メディアのビジネスインサイダーは、若手投資銀行員が心臓病で入院する事例が増えていると報じた。英ロンドンの心臓専門医アルジュン・ゴーシュ博士によると、過去10年間で30歳未満の銀行員の心不全が10%増加した。多大なストレスや睡眠不足に対処するために薬物乱用に走る事例もあり、金融業界の健康問題の悪化はとどまるところを知らない。ワークライフバランスの改善と健康的な環境を求めて転職する社員も多く、投資銀行が優秀な人材を維持することが困難になっている。

報酬を増やすほか、労働時間を把握し、若手社員の週末勤務を制限するなど対策を施している銀行もあるが、こうした措置は守られない場合も多く、根本的な業界文化の転換が必要だとする批判の声も上がっている。

BofAの若手社員2人が死亡したことを受け、米銀最大手JPモルガン・チェース商業・投資銀行部門のジェニファー・ピープザック共同CEO(当時)は投資家に対し、「従業員の健康と幸福以上に大切なものは何もない。当社はこうした話を把握しており、悲劇的で非常に悲しいことだ」と語った。ロイター通信によると、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは自社の従業員のワークライフバランスの取り組みに注力しており、経営陣はこの問題に対処するために人事部長と協議したという。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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