ストア派とは?
紀元前3世紀初頭に生まれたストア派は、破壊的な感情を克服する手段として、自制心、人格、人間の理解を教える哲学だ(言い換えると、ストレスや不安、不確実性に対して、有益で効果的かつシンプルな方法で対処する方法のことだ)。
ストア派の著名な哲学者には、元奴隷でありながら有名な教師となったエピクテトスや、政治家であり、ローマ皇帝ネロの相談相手でもあったセネカ、そして、著書『自省録』で知られるローマ皇帝マルクス・アウレリウスなどがいる。これらの思想家が、人生や野心、挑戦、回復力といった自身の経験に基づき、自然と調和し、道徳的に生きるための哲学を発展させた。ストア派では、「自分でコントロールできること」に集中することの重要性を強調している。
マルクス・アウレリウスは、こう述べている。「物事について意見を持たず、魂を乱されないようにすることは、我々の持つ力の内にある。なぜなら、物事そのものは、私たちの判断を形づくる自然な力を持たないためだ」
このメッセージは、選択の力に言及している。私たちは常に、何を考え、何を無視するかを選択できる。マルクス・アウレリウスは、私たちには反応や思考を選ぶ力がある、と示唆している。
ライアン・ホリデイは、その著書『ストア派哲学入門──成功者が魅了される思考術』(邦訳:パンローリング株式会社)で、ストア派の重要な解釈を共有している。「もし私たちが、1日のうちで、自分がコントロールできる部分とできない部分を明確にできれば、私たちはより幸せになるだけではない。勝ち目のない戦いに挑んでいることに気づいていない人々に対して、明確な優位性を持つことができる」
ホリデイは、古代ギリシャの思想書をベースに、『苦境(ピンチ)を好機(チャンス)にかえる法則』や、『エゴを抑える技術』といったベストセラー本を出版している(二冊とも、邦訳はパンローリング)。
以下では、コントロールという概念にまつわる、ストア派の3つの指針を紹介しよう。