ヘルスケア

2025.04.02 15:00

他人に振り回されず心の平和を取り戻す「あるがまま理論」4つのメリット

Shutterstock.com

4. 人間関係が強化される

たとえ善意からであっても、人をコントロールしようとすれば摩擦や反発が生まれやすい。人は誰しも自分の自主性を重んじるため、過度に干渉されれば窮屈さや不満、あるいは抵抗感を覚えるものだ。しかし、人々に自分で選択する自由を認めることで、信頼と尊重に満ちた環境が育まれる。

一歩引いて相手に決定を委ねることで、その人が自分の人生を主体的に考える能力を信じていると伝わり、結果的に関係性は強化される。また、相手もプレッシャーや防衛心を感じにくくなるため、本当に助言が欲しいときには素直に相談してくるようになり、より深く誠実なコミュニケーションが促されるだろう。

たとえば、いつも仕事の不満ばかり口にする友人がいても、「辞めるべきだ」や「こうすべきだ」と押し付けるのではなく、ただ話を聞き、相手が自分で行動に移す時期を待つほうが良い場合がある。相手が意見を求めてきたときにだけ助言すれば、こちらが相手のプロセスを尊重していることが伝わり、より建設的な対話につながる。

『Personality and Social Psychology Bulletin』誌に掲載された研究では、「お互いがつながりを感じつつも自分らしさを保てる」関係ほど健全であり、困難を乗り越える力も高まることが明らかになっている。安心感と独立性が両立してこそ、関係の絆はより強くなるのだ。

「あるがまま理論」の心構えをもちながらサポートすれば、相手を尊重したうえで相手に選択の自由を与えられる。そのため信頼関係が深まり、より有意義な人間関係を築ける。

手放すことで得られるもの

「あるがまま理論」は、単に他人のことだけを扱う理論ではない。実は自分自身のための考え方でもある。コントロールや説得、調整に費やしていたエネルギーを回収し、それを自分の人生を整える方向へ振り向けるのだ。

コントロールしようとするのをやめると、より価値の高いものが手に入る――それは「自由」だ。自分に合うものに集中できる自由、不確実性を穏やかに受け止められる自由、そして無理なく得られる体験を呼び込める自由だ。

次に、自分がある期待にしがみついていると感じたとき、「もし『あるがまま』にしておいたらどうなるだろう?」と自問してみるといい。肩の荷が下り、人生が驚くほど軽やかに感じられるかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事