ロシア西部クルスク州でウクライナ軍が昨年8月以来支配する突出部に対し、強力なロシア軍部隊が圧迫を強めている。以前から展開している海軍歩兵部隊や空挺部隊に加え、数百人以上の新たな北朝鮮部隊、そしてロシア軍屈指のドローン(無人機)部隊が投入されているもようだ。
クルスク方面でのロシア軍の進撃は、米国のドナルド・トランプ政権がウクライナへの情報提供や武器弾薬の輸送を停止し出した矢先に始まった。ウクライナ軍が2月に遂げていた前進を逆転させるばかりか、ウクライナ軍の現地の主要拠点であるスジャ町に通じる幹線道路を遮断するおそれも出ている。
Daily Ukraine map thread for Saturday 8th March 2025
— Ukraine Control Map (@UAControlMap) March 9, 2025
Highlights: Ukrainian forces withdraw substantially from Kursk oblast. So far no significant losses or encirclements spotted, but we'll see how tomorrow goes.
Russian forces advance and raise flags in Lebedevka, Cherkasskoe… pic.twitter.com/Kx7f9IUMjI
ウクライナ軍参謀本部は8日、クルスク方面の状況について「依然として厳しいが、ウクライナ軍司令部の制御下にある」と地元メディアのウクラインシカ・プラウダにコメントしている。
とはいえ、クルスク州でロシア軍の「セーベル(北)」軍集団が反攻の勢いを取り戻すべく新たに編成した強力な戦力を打ち破るために、ウクライナ軍がどのような措置を講じたのかは不明だ。
まず、突出部の東側では、ロシア軍の第177独立親衛海軍歩兵連隊、第810独立親衛海軍歩兵旅団、第11独立親衛空挺強襲旅団に、再び相当な数の北朝鮮部隊が加勢している。
朝鮮人民軍の第11軍団を主力とする北朝鮮部隊は昨年末以降、クルスク方面の突撃で1万2000人規模の兵力のうち3分の1を損耗し、今年1月までに前線から一時撤退したと伝えられていた。北朝鮮部隊は新たな兵士を連れて前線に復帰したもようだ。
精鋭ドローン部隊「ルビコン」
より重要なのは、ロシア軍が、昨年設立された「ルビコン」先進無人技術センターに所属する精鋭のドローン部隊をクルスク州での戦闘に投入し、ウクライナ軍の大きな強みであるドローンの優位性を鈍らせていることだ。独立系アナリストのアンドルー・パーペチュアは「ルビコンは高度なドローン戦術を駆使している」と説明する。
「彼らはしばしば道路の短い区間(100〜300m)を攻撃目標に据え、そのエリアをドローンで飽和させる。攻撃はグループで行われることが多く、車両の前後左右をほぼ同時に攻撃することもある。この手法は車列の複数の車両を一度に攻撃するのにも用いられていて、被害を拡大させている。また、ドローンを道路に着陸させておき、車両が通過する際にその下で起爆するという、対戦車地雷のような罠も仕掛けている。おそらく、上向きの成形炸薬が使われているのだろう」(パーペチュア)